ビリヤール一族を刑事告訴 相場捜査やインサイダー取引の疑い
SECが「ビリヤール・ランド・ホールディングス」とビリヤール一族の役員らを証券規制法違反の容疑で司法省に刑事告訴
フィリピン証券取引委員会(SEC)は1月30日、国内有数の富豪として知られるマヌエル・ビリヤール氏が会長を務める上場企業「ビリヤール・ランド・ホールディングス」(旧ゴールデンMVホールディングス)とその役員らに対し、証券規制法違反の容疑で司法省に刑事告訴した。市場操作やインサイダー取引、および虚偽の財務情報開示によって金融市場の安定性を損なった疑いが持たれている。
告訴の対象には、マヌエル・ビリヤール会長のほか、妻のシンシア氏(元上院議員)、長男のマニュエル・パオロ氏、そしていずれも現職の上院議員である長女のカミール氏と次男のマーク氏ら親族が含まれている。さらに、社外取締役2人や関連会社のインフラ・ホールディングス、MGSコンストラクションの幹部らも市場操作に関与したとして訴追された。
SECの調査によると、ビリヤール・ランド社は2024年度の財務報告において、外部監査を受ける前に、同社の総資産が1兆3300億ペソ(約3・5兆円)に達したと開示。純利益も前年の約14億ペソから700倍以上となる約9997億ペソへ急拡大したと報告していた。同社はこの驚異的な増益の要因を「不動産資産の評価額の大幅な上昇」と説明していた。
しかし、その後の外部監査を経た再提出資料では、実際の総資産額は357億ペソ(約940億円)に過ぎないことが判明。SECは、国際基準を満たさない不適切な資産評価を行い、投資家を誤導したとみている。この資産評価を担当したEーバリュー・フィリピン社に対しては、昨年11月に資格認定の取り消しと罰金命令が出されている。
さらにSECは、カミール・ビリヤール上院議員によるインサイダー取引の疑いも指摘している。同議員は2017年12月、株価を押し上げる要因となる企業情報の開示直前に、同社株7万3600株を購入した疑いがあるという。また、関連会社を通じて恣意的な買い注文を出すなど、組織的な相場操縦が行われていた可能性も浮上している。
ビリヤール・ランド社は1982年に設立された老舗の霊園開発業者で、現在は全国30カ所以上で事業を展開している。政界とビジネス界に多大な影響力を持つ一族への刑事告訴は、フィリピンの金融市場および政局に大きな波紋を広げることが予想される。現時点で、ビリヤール氏側は公式な声明を発表していない。






