フィリピン新聞

マニラ
30度-26度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P6125

女性のMSMEが比の包括的成長の鍵 地方に住む女性の実情に即した支援を

1765字||社会|新聞論調
新聞論調
新聞論調

 皆さんのご近所にも、きっとこんな方がいるだろう。何もないところから小さなビジネスを築き上げ、常連客一人ひとりの名前を覚え、創業時とまったく同じ規模で何年もそのビジネスを続けてきた女性。彼女には野心が欠けているわけではない。ただ、成長を妨げるシステムの中で事業を営んでいるだけなのだ。

 これは、女性が率いる企業の多くに共通する実情である。比では、零細・小規模・中規模企業(MSME)が雇用の6割を生み出し、国内総付加価値の3分の1以上を占めている。その相当な割合が女性によって運営されている。にもかかわらず、多くの企業は小規模なままである。非公式で、資本不足、特定の地域に限定され、経営者自身の労力に完全に依存しているのである。

 MSMEの経営者に尋ねれば、皆同じ不満を口にするだろう。比でビジネスを行うのは「ハードモード」だ、と。政府の支援プログラムは、起業支援、研修、シード資金、生計支援金など、事業立ち上げには手厚い。しかし、事業が正式な形態になると、大企業を念頭に構築された税務コンプライアンス、労働規則、許可取得、報告要件という迷路に直面することになる。

 女性の場合、その負担は別の負担と重なる。自宅で小規模なケータリング事業を営む母親を例に挙げよう。彼女の料理は、現在の3倍のイベントに提供できるほど美味しいものである。しかし、彼女は同時に家事・育児をこなし、融資の担保となる資産を持たず、顧客はすべて自身のバランガイ(最小行政区)内での口コミによるものである。

 次のステップへ進む手助けをしてくれる買い手や銀行員、役人などに、誰も彼女を紹介してくれないのだ。彼女のビジネスは、料理の品質とは全く関係のない理由によって、行き詰まっているだけなのである。

 中小企業に対する規制緩和は、正しい方向性である。しかし、女性起業家が直面する特有の課題に対処する支援がなければ不十分だ。

 いくつかの変更で、大きな違いが生まれるだろう。書類ではなく、事業そのものを担保に融資を行うべきである。安定した顧客基盤や着実な売上を持つ事業を営んでいる女性は数多くいるが、担保にできる不動産の所有権や正式な信用履歴を持たない場合も多い。キャッシュフロー、デジタル取引記録、発注書、返済実績などを評価することで、すでに資金管理能力を証明している起業家たちに、真の資金提供の道が開かれるだろう。

 また、無料の研修プログラムなどは、子どもを預ける場所がない母親にとって、何の意味もない。保育手当、家族連れに優しい会場、子どもの学校に合わせた開催スケジュールは、女性にとっての障壁を取り除く。

 ビジネスの根幹は人間関係にある。多くの女性起業家、特に首都圏以外に住む女性たちは、頼れるような人間関係を持たないことが多い。メンターシッププログラム、同業者ネットワーク、そして購買や融資の意思決定を行う人々との定期的な交流は、助成金と同様に女性のビジネスにとって大きな助けとなるだろう。

 筆者は、女性起業家のネットワーク「Network for Enterprising Women(NEW)」でPRを担当しており、このNEWの一環として、各地域の女性起業家を支援するために「Women Entrepreneurs for Economic and Regional Advancement(WEERA)」を設立した。

 こうした女性は他の人々と同じスタートラインに立っているわけではない。その事実を無視した支援では、本来助けられるべき人々を見過ごしてしまう。女性は稼いだお金を、食費、教育費、医療費など、そのまま家族のために再投資する傾向がある。そのため、彼女たちのビジネスが成長すれば、周囲の人々も共に豊かになっていくのである。これこそ、包摂的成長の姿である。

 彼女たちはすでに、大企業が見過ごしがちな、主流の投資が届かない場所で活躍している。彼女たちの成長を支援すれば、成長は国の他の地域にも波及し始める。

 中央政府、事業規制機関、地方自治体はそれぞれ、公平さを欠く障壁を取り除くための手段を持っている。これを正しく使えば、包摂的成長は現実のものとなる。(8月6日・インクワイアラー、ミッチ・サバンド氏)

新聞論調