「スーパー」エルニーニョ到来か 農業や水供給など各部門は最大の備えを
フィリピンが今年、エルニーニョ現象に見舞われることは、もはや「起こるかどうか」や「いつ起こるか」の問題ではなく、今年の現象がどれほど激しく、壊滅的なものになるかという問題となっている。
農務省は、「スーパー」エルニーニョの可能性さえ示唆しており、中には「ゴジラ級」の現象を予測する声さえある。これは、中東地域で続く混乱により肥料などの生産資材コストが急騰し、すでに足かせを嵌められている農業部門に、間違いなく甚大な被害をもたらすだろう。
エルニーニョ現象は、乾季が長期化し、その強度が増すことを特徴としている。比気象庁(PAGASA)は、今年第4四半期に中程度から強いエルニーニョが同国を襲う確率が92%と予測しており、その影響は2027年初頭まで続く可能性が高いとしている。
しかし、国内はすでに高温乾燥した気候にさらされており、各地で暑さ指数が「危険」レベルとなる摂氏42度から51度まで急上昇する予報が日常茶飯事となっている。マスバテ、ソルソゴン、アルバイ、南カマリネス、北カマリネス、カタンドゥアネスといった州でも、すでに3ヶ月連続で降雨量が平年の約60%減となっていることが報告されており、エルニーニョがピークに達すれば、この状況はさらに悪化する可能性が高い。
さらに気象庁は、6月から8月にかけて西部でより激しい南西モンスーン(ハバガット)に備える必要があるとも述べた。
原油価格の高騰、ひいては生活必需品やサービスの価格上昇を招いた中東危機への対応に追われ、国や地方自治体の財源はすでに逼迫している。とはいえ、政府全体として、この新たな脅威――その影響は甚大に及ぶ可能性がある――に対する国の対応を強化するため、全力を尽くし、戦略を練り上げ、必要なあらゆる措置を講じなければならない。
観測史上最悪級と評された2024年のエルニーニョ現象の際、長期にわたる乾燥と干ばつによる農業部門の被害総額は577億8000万ペソに達し、過去最大級の損失となった。家畜の飼料となるトウモロコシが最も大きな打撃を受け、次いで米、高付加価値作物、キャッサバの順となった。水産部門も気温上昇による悪影響を免れず、農村部の雇用を支える畜産・養鶏業界やココナッツ産業も同様であった。フィリピン統計局によると、2024年の総生産額は2.2%減の4,835億8,000万ペソとなった。
今年のエルニーニョ現象が中程度から強程度になる可能性が高いことを踏まえ、政府は今すぐ、かつ万全の準備を整える緊急性を強く認識するべきである。幸いなことに、ラウレル農務相は、その影響の潜在的な規模を十分に認識しており、すでに農務省の「マサガナ・コメ産業開発プログラム」(コメの自給率向上とコメ農家の収入向上を目指す2023~28年の計画)の責任者に対し、最悪のシナリオを想定して対策を講じるよう指示している。
当面の対策としては、人々が栄養価の高い食料を確保できるよう、緑豆など水使用量の少ない作物への即時転換を行うほか、作付けスケジュールを調整し、太陽光発電式灌漑システムの導入を加速させることで、降雨量が平年を下回る状況下でも、貴重な水資源を効率的に活用して作物を生産できるようにする。同省はまた、国家灌漑庁と連携して水配分を最適化するとともに、降雨予測と水利用可能量を精査し、気候変動の影響を緩和すべく、作付け戦略の見直しを進めている。
一方、首都圏水道局は、首都圏の給水の大半を担うアンガットダムからの供給量が減少した場合に備え、配水事業者であるマイニラッド水道およびマニラ水道に対し、水損失の削減や浄水場の運営最適化を含む緊急措置を発動する準備を整えるよう指示した。
全国の町や都市、州も最悪の事態に備えて準備を強化しており、エルニーニョ現象はフィリピンにとって珍しい現象ではないことを考えれば、こうした対応は容易に行えるはずである。これまでに十分な実績が蓄積されているはずであり、何が有効で何が不十分だったかを振り返ることで、今回は政府だけでなく民間企業や個人も、最善の対策を採用できるようになるだろう。(29日・インクワイアラー社説)

