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ギマラス島でイセエビ養殖へ 国際水産学術団体が調査主導

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西ビサヤ地方ギマラス島では、世界的需要が高まるイセエビの養殖のため、国際団体が調査指導を行っている

ニシキエビ

 国際的な水産研究機関「東南アジア漁業開発センター養殖部会」(SEAFDEC/AQD)が、「バナガン」や「タイガー・ロブスター」として知られるイセエビ属ニシキエビの養殖を科学主導の生産モデルへと刷新する取り組みをフィリピンで加速させている。20~23日に「伝統的な採捕から科学的な養殖モデルへの完全移行」を目指すプロジェクトが公式に発表された。

 同センターのダン・バリアオ局長によると、現在の比でのロブスター産業は、野生の幼生や稚エビを採捕し、小規模な生け簀で育てるという非公式かつ不安定な手法に依存している。そのため、長期的な生態系への影響が懸念されるだけでなく、生産効率の低さも課題となっていた。バリアオ局長は「この高付加価値種のポテンシャルを最大限に引き出すためには、慣習的なやり方を科学的根拠に基づいた生産モデルに変えることが不可欠だ」と述べている。

 プロジェクトでは、野生の種苗が豊富に生息するギマラス島を主要な研究サイトとして選定。研究チームは①地元の漁師への聞き取り調査を通じ、生態環境と採捕データを検証②ギマラスのイガン海洋ステーションで海上生け簀を用いた「理想的な収容密度」と「給餌スキーム」を開発③成長速度や生存率の基準を設けることで、生産サイクルの最適化を図る――などの点に焦点を当てて実験を行っている。

 SEAFDEC/AQD研究部門長レオベルト・デ・ラ・ペーニャ博士は、手順書が確定次第、大規模な検証試験へ移行する計画だと明らかにした。

 世界的に高級シーフードへの需要が高まる中、このプロジェクトは単に産業を強化するだけでなく、科学的な知見を伝統的な沿岸養殖に統合することで、地域コミュニティに持続可能で回復力のある生計手段を提供することを目指している。

 同プロジェクトは米国の資金提供により2018年~20年に基礎調査期が始まり、比沿岸(特にギマラス島周辺)にイセエビの種苗が豊富に生息していることが確認され、産業化の可能性が示された。21年4月には初期研究が始まり、イロイロ州ティグバウアンにあるSEAFDEC/AQDの施設で、ネグロス島から運ばれた個体を用いた繁殖研究がスタート。同年9月に最初の孵化に成功した。24年10月には実証実験が本格化し、ギマラス島のイガン海洋ステーションで海上生け簀(ケージ)を用いた収容密度や給餌方法の実験が本格的に行われている様子が公開された。

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