若者たちが語る地域の歴史 博物館で学生たちが職業体験積む
西ネグロス州シライ市では、地元の学生たちが地域の博物館で学芸員体験を積み、地元の歴史の語り手を担っている
ビサヤ地域西ネグロス州シライは、スペインからの独立戦争時、愛国主義者たちが集会を開き独立の重要な舞台となった地域。現在でも歴史的建築物などが残され、2024年にユネスコ(国際教育科学文化機関)の世界文化遺産候補に指定されている。そうした地域の歴史を物語る新たな博物館の設立に向けて、地元の学生たちが語り手を担う事業が進められている。
フィリピンの大学生は4年時の卒業前に地元企業や公共団体などで職業体験を約2カ月ほど積む。現在、シライで新たに設立準備が進められている歴史博物館では、地元の学生たちが専門家の指導のもと、地域の資料を読み解き、展示の解説文の作成を進めている。
書き手を担うのは同州バコロド市などの近隣出身で、国立カルロス・ヒラド記念大学(CHMSU)の英語学部の4年生の学生たちだ。大学では英文学や英語学を専門とし、英語教師や企業など、高度外国語人材としての教育を受ける。今回の展示企画での職業体験を志望した四年生のカルビンさんは、「歴史資料を読み、私たちの言葉で地域の歴史を物語る展示作成に携わることができる。文学や語学を専門とする教育課程で培った能力が有意義に活かされる場になると思い、志望した。」と志望動機を語った。学生たちは卒業後、高度な言語能力を活かし、地元企業や教育業界での就職を視野に入れているという。
歴史展示の企画を統括している西ネグロス州歴史委員会(NOHC)のソロモン・ロクシン会長は今回の企画について、「フィリピンの教育では地元の歴史を学ぶ機会がほとんどない。若者たちが地域の歴史を知る機会にもなり、シライ市としても、彼らの新鮮な視点と豊かな文章力で地元の歴史を語り直してくれるきっかけにもなる。」と、学生たちの貢献の意義を語った。
シライの歴史博物館は、古い邸宅を再利用しての設置準備が進められている。学生たちによる展示資料のほか、地元の彫刻家による歴史ジオラマの作成も企画されている。(川上佳風)








