中東情勢がアジアの食料安保を直撃 比農務相、供給網の混乱とコスト増に警鐘
ラウレル農務相はブルネイで開催された第38回国連食糧農業機関会合で地域的な連携強化を強く訴え
フランシスコ・ラウレル農務相は23日、ブルネイで開催された第38回国連食糧農業機関(FAO)アジア・太平洋地域総会の閣僚級会合で、中東における地政学的緊張が世界のサプライチェーンを乱し、農業生産コストを押し上げているとして、地域的な連携強化を強く訴えた。フィリピンは日本、タイ、スリランカ、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリアとともに、「2026年中東紛争が食料安全保障に及ぼす影響」を公式議題に含めるよう働きかけ、石油、ガス、肥料の輸出停滞が地域全体にインフレ圧力を加えている現状に深い懸念を表明した。
ラウレル大臣は演説で、世界的なエネルギーショックが国内の農業生産に波及している現状を指摘。特に農業や物流の生命線である肥料と燃料の価格上昇が、生産コストや輸送費、さらには最終的な小売価格に跳ね返っている。
比国内では、需要が最も高まる雨期の植え付け時期に肥料コストが上昇しているほか、燃料高騰が多島海国家特有の輸送コストを増大させ、漁業活動の縮小や生活必需品の価格高騰を招いている。さらに、今年後半に予測されている「強いエルニーニョ現象」が農業生産や水資源の確保にさらなる打撃を与える可能性があり、外部ショックと気候リスクの二重苦に直面している。
これに対し、比政府は短期的な衝撃を緩和するため、農漁民への燃料補助金の支給、低温貯蔵施設や収穫後インフラへの投資、非化石ベースの代替肥料の促進といった一連の国内対策を提示している。ラウレル氏は、単なる生産目標の達成に留まらず、農家の所得安定や栄養改善、農村開発を包括する「アグリフードシステム・アプローチ」への転換を提唱。農村インフラへの投資、気候変動に強い農業技術の導入、民間資本を呼び込む革新的な金融メカニズム、そして女性や若者の参画を促すバリューチェーンの構築を優先事項として挙げた。
一方、比代表団はラオスおよびベトナムの当局者と個別の二国間会談を行い、農業技術の交流や貿易の円滑化について協議した。比はFAOに対し、主要商品や肥料の価格・供給に関するリアルタイムのモニタリングと早期警戒システムの維持、市場の透明性、および予見可能な貿易の確保を要請。食料安全保障の課題は相互に関連しており、地域が一致団結して対応することの重要性を改めて強調した。
次回のFAOアジア・太平洋地域総会は2028年にラオスで開催される予定。








