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【解説】ビサヤの動脈、再生へ マハルリカ・ハイウエー大規模修復

1294字|2026.2.12|経済

完成から50年近くが経過したマハルリカ・ハイウエーは痛みが激しく問題が多発。応急処置を卒業し、本格的な再生へ

サン・ファニーコ橋=ウィキペディア

 1978年に完成したマハルリカ・ハイウエーの正式名称は「パン・フィリピン・ハイウエー」で、現マルコス・ジュニア大統領の父親であるマルコス元大統領の前任者マカパガル大統領が国家インフラ事業として整備を開始した。事業を受け継いだマルコス元大統領が一部日本のODAを受けて工事を進めたことで「日比友好道路」とも呼ばれたが、完成後にすぐ「マハルリカ・ハイウエー」と改名された。しかしその後のラモス政権でも日本のODAを用いた修復工事が行われたこともあり、現在でもこの三つの名称が混在している。

 フィリピンの南北を繋ぐ「背骨」として建設されたマハルリカ・ハイウエー。しかし完成から50年近くが経過したことで痛みが激しく問題が多発していた。そのビサヤ地方区間が、いよいよ「パッチワーク(継ぎはぎ)」の応急処置を卒業し、本格的な再生の時を迎えようとしている。2026年第1四半期に順次着工するこの大規模プロジェクトの背景と核心部分を解説する。

▽「修繕」から「リハビリテーション」への転換

 長年、マハルリカ・ハイウエーを走るドライバーたちを悩ませてきたのは、至る所にある「穴(ポットホール)」だ。これまでは穴を埋めるだけの場当たり的な補修が主流だったが、マルコス政権は今年、これを根本から作り直す「大規模リハビリテーション」へと舵を切った。

 予算規模としては初期段階で約160億ペソを投入し、①地盤の補強や排水システムの抜本的改善を施し路面を再舗装する②資材や工事そのものの品質問題を打破するため、国内最大手のゼネコン(EEI、DMCIなど)が直接現場指揮を執る――などの体制で工事を進める方針。

▽焦点は「東ビサヤ」の難所

 今回の工事で最大の焦点となるのが、サマール島とレイテ島を擁する東ビサヤ区間だ。ここは地形の険しさと台風の通り道という過酷な条件下にあり、路面の劣化が最も激しい。特にサマール縦貫ルート(サマール州カルバヨグ市~サン・ファニーコ橋、約206km)に至る区間が最優先エリアで、単なる補修にとどまらず、将来的な4車線化を見据えた基礎工事も視野に入っている。

 また、サマール島とレイテ島を結ぶサン・ファニーコ橋は同ハイウエーの象徴ともなっており、鉄製橋梁の構造強化が同時に進められる。

▽経済・物流へのインパクト

 政府内でもマハルリカ・ハイウエーはフィリピンの物流コストを左右する生命線とされている。公共事業道路省(DPWH)も「道路が良くなれば、物価が下がる」の合い言葉を掲げ、首都圏とミンダナオ地方を結ぶトラック輸送の時間を短縮し、輸送中の農産物の損失を防ぐことに直結するとして重要視している。

▽今後の展望と課題

 工事は2027年末までの完了を目標としているが、懸念材料は「天候」と「交通渋滞」だ。特にサマール島内の移動には工事に伴う片側通行などで通常の1・5倍から2倍の時間がかかることも予想される。ビサヤ地方を縦断するマハルリカ・ハイウエーが、真の意味で「友好と繁栄の象徴」へと蘇るか、2026年はその正念場の1年となる。

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