BARMMの今後を脅かす幾多の要因 武装集団らの認識に前向きな変化も
今年9月14日、バンサモロ・ムスリム自治地域(BARMM)で初めて行われた議会選挙について、マルコス大統領は、「真の自治と自らを統治する権利」に向けた「歴史的な節目」であると称賛した。とはいえ、この選挙は長く困難な道のりの第一歩に過ぎない。
今回の投票により、2014年の「バンサモロに関する包括的合意(CAB)」の基本的な要件の一つを満たした。しかし、もう一つの重要な要件は依然として不透明なままである。つまり、同合意では、分離独立派組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」内に残存する1万4000人の元戦闘員の武装解除と、民間人への移行を柱とする「撤退合意」が求められていたからだ。
実はMILFにかつていた4万人の戦闘員のうち、約60%が武装解除を完了していたところ、MILFのムラド・エブラヒム議長が突如としてこのプロセスを中断し、武器を放棄した戦闘員に対して約束された給付金を政府が確実に提供することを保証するよう求めた。
マレーシアの首都クアラルンプールで政府とMILFの交渉団が会談した結果、対立は解消された。しかし、マルコス大統領とエブラヒム氏との会談の調整が進められている間も、撤退合意は依然として未決の状態にある。
今回の選挙結果そのものが、大きな障害となる可能性もある。MILFが支援する「統一バンサモロ正義党」は30議席を獲得したが、対立政党が46議席からなる与党連合を結成しており、MILF主導の連立政権の樹立は不確かだ。議会の安定がなければ、政治的停滞に陥るだろうと専門家たちは見ている。
膠着状態が続けば、治安が崩壊するおそれがあり、マウテグループやアブサヤフといったテロ組織がその状況を悪用する可能性がある。軍や警察による作戦により、爆破や誘拐などの攻撃を仕掛ける能力は低下したかもしれないが、これらの組織は依然として活動を続けているのだ。
民間の武装集団も脅威である。国家警察は、BARMM内で選挙などの時にだけ活動する傭兵集団の正確な数を把握していない。
また、ムスリム・ミンダナオの文化に深く根付く「リド」(一族間の抗争)は、依然として最も懸念される問題である。これらは、BARMMが紛争後の社会へと移行する上で大きな課題となっている。
現在、このリドを、文化的・宗教的原則に位置づけて体系化しようとする取り組みが進められている。これは、すでに当事者らに影響を与え始めており、「多くの武装集団が、リドで犯された多くの行為がイスラム教やコーランの教えで禁じられていることを認識し始めている」「非戦闘員の保護や地域社会への配慮がより重視されるようになった」とあるオブザーバーは指摘した。
治安情勢の変化は、この地域の経済の先行きに関わってくる。BARMM自治政府は、今後の長期的な経済成長の枠組みのための4つの基盤を明らかにしている。
第一に、北マギンダナオ州のポロック港と、ミンダナオ島西部のバシラン州とタウィタウィ州、そしてマレーシアのサバ州を結ぶ「ブルーエコノミー」貿易回廊の構築である。
そして、第二に、災害に強い農業システムの構築と、BARMMをハラール農産物および加工食品の世界的なハブとして発展させることである。
第三に、バシラン州に水素発電所を建設し、地域の海運産業にクリーンエネルギーを供給することである。そして、第四として、この地域の人材とインフラに多額の投資を行うことである。
自治権は、制度的能力の強化、財政の透明性、そして包摂的な司法の実現に向けた取り組みに弾みをつけるものだ。同地域の指導者たちは、部族の所属や政治的パトロンにとらわれない、良き統治を実現できることを証明しなければならない。
そして、さらに重要なのは、和平合意を、成長と発展をもたらす手段へと転換するという課題に、彼らがしっかりと立ち向かうべきだということだ。(26日・マニラタイムズ社説)








