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聖週間に寄せて比人の苦しみと希望を想う 十字架の道行きを今の比社会に照らす

3118字||社会|新聞論調

 カトリック信仰における「十字架の道行き(ヴィア・クルシス)」は、イエス・キリストの生涯の最期の数時間を巡る霊的な巡礼を意味する。私の「十字架の道行き」に関する考察は、その15停留を、フィリピン人の苦しみという文脈に当てはめたものだ。イエスの比類なき苦しみへの敬意を払いつつ、この比人の生活への適用は、悔い改め、連帯、そして希望という「十字架の道行き」の象徴的なテーマにさらなる意味を与えるだろう。

《1.イエスが死刑を宣告される(フィリピンの母子死亡)》

2025年、フィリピンでは出生数10万人あたり約119人の死亡が報告されている。持続可能な開発目標(SDGs)3.1の目標値は70人となっている。新生児死亡率は出生1000人あたり12人と推定され、乳児死亡率は1000人あたり17人、10代の妊娠率は4.8パーセントである。

《2.イエスが十字架を背負う(フィリピン人が慢性的な貧困という十字架を背負う)》

何百万人ものフィリピン人が依然として貧困ラインを下回っている。農村部の貧困は特に深刻で、「貧困の罠」が依然として続いている。貧困発生率は13.2~14.5%(フィリピン統計局/国家経済開発庁)、自己申告による貧困率は51%、食料貧困率は41%である(2025年)。

《3.イエスが初めて倒れる(フィリピンの子どもたちは発育不全と栄養失調に苦しんでいる)》

フィリピンは、子どもの発育阻害(慢性的な栄養不足などによる著しい低身長状態)の割合において世界的に最下位に位置し、総数において世界第9位である。データによると、5歳未満のフィリピン人の子どもの3人に1人近くが慢性的な栄養失調に苦しんでおり、これが長期的な認知発達に影響を及ぼしている(世界保健機関[WHO]およびユニセフ、2025年)。

《4.イエスが母と出会う(フィリピンは依然として気候変動の影響を受けやすい)》

フィリピンは、世界で最も災害に見舞われやすい国として(193カ国中)1位にランクインした(世界リスク指数、2025年)。また、気候変動対応指数(2026年)では中位グループの19位となったが、12ランク下落、「回復力はあるが逼迫している」とも評価されている(OECD、2026年)。

《5.キレネ人のシモンがイエスの十字架を担ぐのを助ける(フィリピン人の経済的亡命)》海外在住のフィリピン人は推定1,000万~1,200万人で、その半数超が女性(57.2%)であり、そのうち68.4%が日常的な肉体労働や家事に従事している。2024年の送金額は過去最高の2,622億ペソに達した(比国家統計庁、2025)。経済的利益は明らかだが、家族の離散や子供たちの苦境といった社会的コストや「生存の代償」が研究によって実証されている。

《6.ベロニカがイエスの顔を拭う(フィリピン人は不十分な医療に苦しむ)》

医療従事者の不足は、国民の健康安全保障を脅かす「大規模な人材不足」と形容されている。医療人材の不足数は約29万人であり、人口1万人あたり21.2人の医療従事者という不足分を埋める必要がある(WHO 44.5)。医療施設は、ユニバーサル・ヘルスケア法で想定されている水準に達していない。

《7.イエスが二度目に倒れる(識字教育、貧困、教育危機)》

第2回両院教育委員会は、比の教育が基礎的なスキルを身につけさせる点において制度的に失敗して「世代的な危機」を生み、教育課程を進むにつれて悪化する「学習格差」をもたらしていると述べている。これには、習熟度の急落、統治体制の分断、指導や評価に関する問題、そして教育と労働市場の乖離などが含まれる。

《8.イエスがエルサレムの女性たちに出会う (高インフレと食料不安に苦しむ家庭)》

国家経済開発庁(NEDA)は、『フィリピン開発計画2023-2028』において、「加速するインフレ」を主要な社会問題として特定している。2026年2月の年間インフレ率は、1月の2.0%から2.4%に上昇した。これは13ヶ月ぶりの高水準である。石油製品の価格は生活必需品の価格に影響を及ぼしている。

《9.イエスが3度目の転倒(失業率と不完全雇用率が急上昇)》

現在の失業率は5.8%(296万人)で、2022年6月以来の最高水準を記録している。不完全雇用率は13.2%(634万人)で、2025年12月の8%から上昇している(労働雇用省)。

2026年度末には、180万人の高校生が卒業し、約80万~90万人の学生が学士号を取得すると予測されている。これらの卒業生は就職活動を行うことになる。大学では「懸念すべき」中退率が見られ、比の大学生の10人に4人近く(約39%)が、経済的困難を理由に修了前に中退していることが指摘されている。

《10.イエスは衣服を剥ぎ取られる(犯罪と正義)》

国内の犯罪率は、重犯罪件数において12.4%という大幅な減少傾向を示した(2024年の40,771件から2025年には35,717件へ)。司法分野では、事件処理率が19%に達しており、これはデジタル化や裁判所の拡充と並んで「画期的な」改革である。最も深刻な「社会悪」は、非人道的な収容施設の過密状態にある。また、法の支配については、比は142カ国の調査対象国の中で下位3分の1に位置し、東アジア・太平洋地域において一貫して最下位近くに位置している(世界司法プロジェクト・法の支配指数、2025年)。

《11.イエスが十字架に釘付けにされる(蔓延する汚職がフィリピンの進歩を阻む)》

汚職は依然として構造的な障壁となっている。フィリピンは、2025年腐敗認識指数(トランスペアレンシー・インターナショナル、2026年)において182カ国中120位となり、前年より6位下落。2012年に現行の採点システムが導入されて以来、最低水準を記録した。東南アジアでは、カンボジアとミャンマーのみを上回る結果となった。

《12.イエスが十字架上で息を引き取る(フィリピンの選挙制度は依然として絶望的)》

選挙は、有権者教育を伴えば国民に力を与えるはずだったが、依然として、良心なき強力な政治王朝、組織的な票の買収、不具合だらけの技術、そして結果が事前にプログラムされているという陰謀論を煽る開票機の「幽霊」といった問題に悩まされている。

《13.イエスが十字架から降ろされる(不正義と国家ビジョンの欠如)》

最近発覚した洪水対策資金をめぐる不正事件は、陰謀と汚職という明白な悪を露呈したにもかかわらず、政府指導者たちの有罪判決には至らなかった。中東戦争による危機に対し、指導者たちは国民の嘆きや叫びに耳を傾けていない。

《14.イエスが墓に葬られる(フィリピン人は医療従事者の立ち会いなしに亡くなる)》

2024年の死者70万1,884人のうち、42.3%(29万6,897人)は医療従事者の立ち会いなしに亡くなっている。これは、毎日813人の比人が診察を受けることなく亡くなっていることを意味する。

《15.復活》

1991年、教皇聖ヨハネ・パウロ2世の時代、教会は聖ロザリオの神秘にこの項目を加えることを推奨しました。これは、キリストの受難が、死に対する勝利においてその究極の意味を見出すことを信徒に思い起こさせるためです。比人は楽観的で、信仰深く、祈りの人です。神が彼らにふさわしいより良い政府と、より良いフィリピンを授けてくださいますように。(3日・マニラタイムズ、カール・バリタ氏)

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