石油危機に続いて経済危機が押し寄せる 国内政治家らは弾劾よりも対策協議を
今後数日間で、フィリピンの消費者は原油価格の大幅な高騰に見舞われる。しかし、これは、今後起こる多くの問題のほんの序章に過ぎない。
エネルギー省は石油会社に対し、価格高騰を段階的に緩和するよう要請することで、打撃を和らげようとする。しかし、価格はいずれにせよ、来週でなくても再来週には、我々に打撃を与えるのだ。
その後、インフレが急騰する。2月のインフレ率は2.4%にまで上昇したが、これは米国とイスラエルがイラン攻撃を開始する前のことだ。3月のインフレ率は、とてつもなく高くなるだろう。
価格の問題もあるが、供給の問題もある。実は、我々はディーゼル燃料の多くを中国と韓国から輸入している。しかし中国は国内供給を確保するため、石油製品の輸出をすべて停止した。韓国もすぐにそれに追随するだろう。
1973年の石油危機後、日本は石油備蓄の積み増しを始めた。現在、日本の石油備蓄量は200日分を超えており、これは世界最高水準だ。一方、我々の手元には、あと数日分の石油備蓄しかない。
私は1973年の石油ショックを覚えているが、世界経済を2年間の不況に陥れた。配給制の燃料を買うために列に並ぶのが私の仕事だった。毎日の時間の半分をガソリンスタンドの列に並んで過ごした。
ここ数年、大手石油販売会社は、完成品を輸入する方が利益が上がるという理由で、フィリピンの製油所を閉鎖してきた。ペトロンだけが、利益機会を無視して製油所を維持した。それは、オーナーのラモン・アン氏が、精製能力をある程度維持することが国の戦略的利益になると信じていたからだ。
しかし、サプライチェーンはもう崩壊している。先週の木曜日、ホルムズ海峡を通過したタンカーはゼロだった。その日、イランの無人機がクウェート沖でタンカーに穴を開けた。その前日には、世界の保険業界がペルシャ湾からの石油輸送に対する保険適用を撤回した。これらの輸送は、世界の石油供給量の20%を占めている。
カタールは不可抗力を理由に液化天然ガス(LNG)施設を停止した。たとえ戦争が今日終結したとしても、これらの施設の再開には1ヶ月かかるだろう。この中断は多くの工業経済に打撃を与える。
イスラエルと米国の軍用機は、イラン全土に爆弾を投下している。これらの爆弾の一部は石油精製施設に落下する可能性がある。もしこれらの施設が被弾した場合、供給網に戻るまでには何年もかかるだろう。この戦争の結果がどうであれ、原油価格は高止まりするだろう。
サウジアラビアと湾岸諸国はイランの攻撃に対して脆弱であることが明らかになった。ペルシャ湾にあるすべての米軍基地は、イランのミサイルとドローンによって破壊された。この地域の石油輸出国は、すべての投資契約の見直しを発表した。湾岸地域の経済ブームは終わったのだ。
これは、私たちに新たな問題をもたらす。この地域では200万人のフィリピン人が雇用されているのだ。その多くが失業し、数千人が帰国を希望するだろう。輸入依存度が高まっている経済を支えるために頼りにしている送金の流れは、減少し始めるだろう。これは国家の財政運営にとって大きな問題だ。
2025年、我々は財政赤字目標を大幅に上回った。また26年は、未払い債務が18兆ペソをはるかに超える水準で始まった。この巨額の債務返済は、インフラの近代化を妨げている。送金収入の大幅な減少は、債務への依存度を高める。送金の減少は、債務危機に近づくのだ。
1973年、ホルムズ海峡は戦争によって封鎖されなかったが、今回は、封鎖された。ある上院議員は、この不安な時期に、見せかけの行動に出た。彼は石油備蓄制度の構築を要求した。しかし、もう遅すぎるのだ。高騰した石油に外貨を浪費したとしても、まもなく石油は手に入らなくなる。
この1週間の出来事から見て、世界経済が深刻な不況に陥ることは間違いない。あらゆる場所で供給ラインが寸断され、世界貿易は逼迫するだろう。儲けているのは軍産複合体だけだ。
ところで、我々は来たる経済危機への備えができているのだろうか?もちろん、できていない。ここは日本ではないのだ。我々は、来たる経済危機を評価するための高レベルの国家安全保障会議さえ招集していない。エネルギー省は、供給安定化のために100万リットルのディーゼル燃料を調達すると強気の顔をみせる。しかし、どこから?他の国は皆、燃料を買いだめしているのに。
我々は危機が目の前に迫ってきて初めて、それに反応する。我が国の政治エリートは、戦略的な懸念よりも余興にばかり気を取られている。石油供給不足の可能性や送金フローの減少に直面しながら、政治家たちは今、副大統領の弾劾を試みているのだ。まるでローマが燃えているのにネロがバイオリンを弾いているようなものだ。
今日から何が起ころうとも、世界経済はこの宣戦布告なき戦争によって既に壊滅的な打撃を受けている。アメリカとイスラエルは、女子校や警察署を好きなだけ爆撃するかもしれないが、ホルムズ海峡を再開させることはできないのだ。
トランプは、その傲慢さゆえに、この戦争に敗北した。(7日・スター、アレックス・マグノ氏)






