歪んだ特権意識を持つ政治家は選挙で排除せよ 大統領の末息子に銃口向けた州知事の車列
フィリピンではサイレンやウィンカー、点滅灯などの使用は、政府機関の車両に搭乗する許可を得た警備員や救急隊員を除き禁止されている。しかし、VIPとしての特権を謳歌する「ワンワン」(点滅灯の音)文化は根強く残っており、根絶するのは困難だ。
このことは、2月21日夜、北ルソン高速道路でダニエル・フェルナンド州知事のものとされる車列と民間のスポーツ仕様車(SUV)が接触した際にも明らかになった。
フェルナンド州知事は通常、州政府に登録された4台の車列で移動しており、そのうち3台は州知事の民間警備員が乗車していた。これについて、事件後にジョンビック・レムリヤ内務自治相はフェルナンド氏が「自らの領土において王様のように振る舞っている」と述べて批判している。
この事件が起きた際のビデオ映像に基づくと、州知事の車列は北ルソン高速道路の片道4車線を占拠するほどに横に広がっていた。その時に、後ろからきたトヨタ・ランドクルーザーが車列を追い越そうとしたところ、車列のボディーガードに追跡され、停車させられたのだった。ボディーガードは銃を抜き、SUV車両の乗客に銃口を向けたと報じられている。
しかし、そのSUVに乗っていた人々の罪状は何だったのだろうか。特権階級のVIPだけがそれを知っているのだろう。いずれにせよ、SUVに乗っていた人々は大変な目に遭う可能性もあったのだが、幸運にも身分証明書を持っており、その1枚には「マルコス」という姓名が記されていたのだ。
つまりその時、マルコス大統領の末の息子でソフトウェアエンジニアであるウィリアム・ヴィンセント・マルコス(通称ヴィニー)は、運転席に同乗者を乗せて走行しており、さらに大統領警護司令部の護衛がSUVの数分後方を走行していたという。この走行位置は彼の意向によるものとされている。
この事件を受けて、ヴィニーの兄で下院議員のサンドロはさっそく、路上のけんかによる危害を独立した犯罪として分類することを提案する法案を提出している。
実際に、全国各地で、王様のように振る舞う要人が蔓延している。必要なのは、要人たちの歪んだ権利意識を根絶することだ。この歪んだ意識は、高速道路の全車線を独占する権利が自分たちにあり、VIPの車列を追い越そうとする者は誰であれ、災難に見舞われると、特定の要人たちに信じ込ませているのだ。
この権利意識という病は、適切に施行されていない法律を使うよりも、むしろ選挙で権力濫用を行う要人政治家を排除することで最も効果的に治すことが出来るのだ。(4日・スター社説)






