課題山積の環境問題には生え抜きのリーダーを マルコス氏による環境天然資源相の交代人事
マルコス大統領は最近、ロティリヤ大臣を駐バチカン・フィリピン大使に任命した一方で、フアンミゲル・クナ次官を環境天然資源省(DENR)の大臣代行に任命した。ロティリヤ氏は2025年6月に任命されてから1年も経っていない。大統領府は、ロティリヤ氏が「より軽い任務」を要請したことを受けて交代人事が行われたと述べたが、かつてロティリヤ氏が任命委員会によって3度も却下されたことは特筆に値する。
フィリピンが直面する多くの環境問題を考えると、有能なDENR大臣を見つけることは極めて重要である。これらの問題には、深刻化する汚染、気候変動への脆弱性、急速な都市化と開発圧力、生態系に影響を与える採掘・埋め立て事業、プラスチック汚染の悪化、海面上昇、生物多様性の喪失などが含まれる。河川や海への廃棄物の不法投棄が続いていること、そして多くのインフラ事業の環境影響評価が不十分であることも問題となっている。
世界保健機関(WHO)によると、比の大気汚染は、車両からの排出量の増加と、発電のための石炭や石油などの化石燃料の多用により、推奨される最大レベルを大幅に上回っているという。
一方、世界銀行は、廃棄物管理・リサイクルシステムの不備、そして使い捨てプラスチックの多用により、フィリピンのプラスチック汚染は300万トン近くに上るなど「驚異的」であると指摘している。また、フィリピンは年間270万トンのプラスチック廃棄物を排出しており、その20%が海に流れ込んでいるとも指摘する。
DENRが直面するこれらの大きな問題を考えると、同省が長年予算不足に苦しんでいることは憂慮すべきことだ。ロイザガ元DENR大臣は、2023年の就任当初から、気候変動の影響を緩和し、国全体で環境保護活動を強化するために必要な財源と人的資源が不足していると認めていた。「DENRは1500万ヘクタールの指定森林地帯を管理し、何千ヘクタールもの沿岸地域も管理している。現時点での予算と人的資源の水準では、私たちの生態系全体を適切に保護することはできない」と彼女は指摘した。
その年、DENRに割り当てられた予算は232億9000万ペソで、22年に割り当てられた254億ペソを下回った。26年には281億ペソにわずかに増額された。この結果、国の環境問題に対処するために必要な人員が深刻に不足し、DENRは環境保護のためのプログラムの実施や法律・規制の執行に失敗している。つまり、同省は災害に対して反動的な対応を取っているということだ。
2月24日、DENRは、リサール州ロドリゲス町にあるゴミ処理場崩落事故が発生し1人が死亡したことを受け、衛生埋立地の運営者に対して業務停止命令を発令した。 1月8日には、少なくとも36人の作業員が死亡したゴミ崩落事故を受け、セブ島の埋立地運営会社に対しても同様の命令を出している。
また同省は、ビサヤ諸島を襲った大洪水を受け、2025年11月10日にはモンテラサス・デ・セブ住宅開発事業の開発会社に対しても、違反通知と停止命令を出した。昨年10月には、東ネグロス州バイス市で発生した民間のエタノール蒸留工場による大規模な廃水流出事故の封じ込めという課題にも直面している。
しかし、環境天然資源省が約束したのは、責任者に対して行政、民事、刑事訴訟を起こすことだけ。環境リスクが知られているにもかかわらずマニラ湾の埋め立てが継続されていることや、ボホール島のチョコレートヒルズに違法リゾートが建設されていることも問題だろう。
マルコス氏は、DENRに適切なリーダーを見つけるだけでなく、比における気候変動の影響を緩和するためにDENRが既に把握しているプログラムを実施するために必要な予算を同省に提供する必要がある。
また、リーダーシップに関しては、マルコス政権は政治任用を廃止することで成功を収めるだろう。やはり内部から来た人物の方が、より長い学習を必要とする別の分野からきた個人よりも、問題とその解決策に精通している可能性が高いからだ。クナ氏は、環境天然資源相代行に任命される前、2008年に州環境天然資源担当官として勤務している生え抜きの人物だ。環境保護への欲求ではなく、利益のみを追求する私利私欲の者たちに立ち向かう勇気を彼が持つことを期待する。(2日・インクワイアラー社説)






