「軍事バランス変化が安保環境を悪化」 小泉防衛相、ASEANとの会合で強調
日ASEAN防衛相会合で小泉氏が演説。AIや海底インフラ保護の協力拡充を提案
小泉進次郎防衛相は28日、中央ビサヤ地域ラプラプ市で開かれた第10回日・ASEAN防衛担当大臣会合で、人工知能(AI)や無人システム、重要海底インフラの保護など新たな安全保障上の課題に対応するため、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の協力枠組みを見直すよう提案した。既存の専門家会合の活動範囲を柔軟に変更するほか、期限付きの特別事業を設けることなどを提起した。
小泉氏は演説で、自然災害の深刻化、世界各地の紛争による供給網やエネルギー供給への影響、軍事バランスの急速な変化が、東南アジアの安全保障環境を悪化させていると指摘。ASEANの一体性、中心性、危機への対応力を維持する重要性を強調し、日ASEAN防衛協力を発展させるため、三つの方向性を示した。
第1に、ADMMプラスの下に設置されている専門家会合(EWG)の協力分野を見直すよう提案。現在は海洋安全保障、災害救援、サイバーなど七つの分野で活動しているが、AIや無人システム、重要海底インフラの保護といった新たな課題にも対応する必要があると訴えた。
第2に、異なる専門分野を横断する協力の制度化を提案。今年9月にインドネシアで行われた合同演習「トライデント・リゾルブ」で、初めて三つの専門家会合が共同で実地演習を行ったことを評価し、こうした取り組みを継続する仕組みの検討を求めた。
第3に、ASEAN域外の国や国際機関との協力拡大を提案。ADMMプラスへの新規参加国の受け入れとは切り離し、既存のオブザーバー制度を活用して、個別の活動ごとに外部参加を認める方法を示した。参加条件や手続きはASEAN側が決定すべきだと強調した。
小泉氏は、12月に東京で開催予定の次官級会合で、専門家会合の課題を具体的に議論することに期待を表明した。今回示した三つの方向性は日本側の提案で、会合での採択が発表されたものではない。
▽日比の災害協力を評価
会合で議長を務めたテオドロ国防相は、今年が日比外交関係樹立70周年に当たることに言及。東シナ海や南シナ海で安全保障上の課題が続く中、日本によるASEANへの支援と防衛協力を評価した。
テオドロ氏は今後の重点分野として、人道支援・災害対応、人間の安全保障、重要インフラや供給網の保護の三つを挙げた。地震、火山噴火、台風、洪水などの自然災害に日本とASEAN各国が共通して直面していると指摘し、災害対応能力の強化を呼び掛けた。
特に、日比円滑化協定(RAA)の適用を受けた共同活動に言及し、セブ北部を襲ったマグニチュード6・9の地震の際、日本側が救援活動を支援した例を紹介した。
また、経済や観光、教育などを通じた人的交流が拡大する中、人間の安全保障が重要になっていると説明。海底通信インフラや供給網の保護でも協力を深める必要性を強調した。
日本とフィリピンは2024~27年のADMMプラス海洋安全保障専門家会合の共同議長国を務めている。テオドロ氏は、これまでの共同活動や若手人材の交流事業を評価し、日ASEAN防衛協力のさらなる具体化に期待を示した。








