フィリピン新聞

マニラ
32度-25度
両替レート
1万円=P3,970
$100=P6325

中国深海調査船の活動阻止へ 比EEZで無許可調査とPCG

1466字|||政治

比EEZで中国深海調査船が無許可調査、PCGが航空機と巡視船派遣

ハーディー礁付近で活動していた中国調査船
ハーディー礁付近で活動していた中国調査船=11日、PCG提供

 比沿岸警備隊(PCG)は11日、南シナ海南沙諸島ハーディー礁(比名フボ礁)付近の比排他的経済水域(EEZ)で、中国の深海調査船「探索1号」が政府の同意を得ず海洋科学調査を行っているとして、航空機と巡視船を派遣したと発表した。航空機は同船に無線で複数回警告したが応答はなく、PCGは調査活動を阻止するため巡視船を現場に向かわせた。

 PCGの船舶追跡によると、同船は2日に中国海南省三亜付近を出発し、9日午後7時30分に比EEZへ入った。10日朝には南沙諸島北東部のサザンバンクス(比名カティムガン堆)の北西約12カイリでほぼ停止し、自動船舶識別装置(AIS)で「潜水作業中」で操船能力が制限されていると表示。周囲2カイリを空けるよう他船に求め、到着予定日を17日としていた。PCGは少なくともさらに1週間は海域にとどまる意図を示すものとみている。同船はその後、一時AISの発信を停止した後、再開した。

 11日午後1時45分時点では、ハーディー礁の西北西5・63カイリを航行していた。PCGは同日朝、パラワン州プエルトプリンセサ市のバウティスタ空軍基地からプロペラ機「アイランダー」を派遣。午前8時13分、同礁の西北西約5カイリを東向きに低速航行する同船を確認した。上空からの確認時には、潜水艇や海中に展開された機材、ケーブル類は確認されなかった。航空機は同船に複数回無線で警告したが、応答はなかった。

 同じ飛行では、ハーディー礁周辺で中国海警局船2隻を確認したほか、中国海軍艦艇2隻も周辺海域で確認した。ガバンPCG長官は飛行結果を受け、「探索1号」に直接警告し、無許可の海洋科学調査を阻止するため巡視船の派遣を命じた。

 「探索1号」は中国科学院深海科学・工学研究所が運用し、中国の有人深海潜水艇などの母船として使われている。深海用ウインチ、測深装置、海底堆積物の採取装置などを備える。

 ▽ハーディー礁は比EEZ内

 ハーディー礁は南沙諸島北東部、パラワン島の西110カイリ未満にある小規模なサンゴ礁。マルコス大統領は今年3月の大統領令111号で、「フボ礁」をフィリピン側の公式名称として採用。シンガポール国立大国際法センターの分析では、高潮時には水没すると推定されており、領海を有しない「低潮高地」に当たるとみられる。2024年制定の比海洋区域法は、比群島基線から200カイリ以内にある低潮高地を比EEZの一部と規定している。

 比外務省は、中国側から「探索1号」による比EEZ内の海洋科学調査について同意を求める申請は受けていないと確認した。UNCLOSは、沿岸国のEEZや大陸棚で海洋科学調査を行うには沿岸国の同意が必要と定めている。PCGは、同意を得ず海底調査や試料採取、地図作製を行えば違法だとしている。

 ▽中国船の活動相次ぐ

 PCGは最近、バタネス州イトバヤト島北西で別の中国調査船に対応したほか、9日にはカラヤアン諸島(南シナ海南沙諸島)のロアイタ島(比名コタ島)の領海内で、中国海上民兵船1隻と小型漁船22隻による無許可操業を確認し、退去させたとしている。これ以前にも、中国の海洋調査船がスカボロー礁沖に約1カ月とどまっていた。

 ガバン長官は一連の動きについて、中国が漁船や海洋科学調査船を複数海域で組織的に運用することで、比側の対応能力を分散させ、補給や活動継続の負担を増やしていると非難した。PCGは外務省など関係機関と連携し、「探索1号」の動向を監視するとしている。

政治