仲裁判断は「比中関係の障害」 中国が14カ国共同声明に反発
南シナ海判断10周年の14カ国共同声明に中国反発。「何の価値もない紙くず」「比中関係の障害に」
南シナ海仲裁判断10周年に比日米を含む14カ国が同判断支持の声明を出したことを受け、中国外務省は12日、同判断を「何の価値もない一片の紙くずにすぎない」「比中関係と南シナ海の平和・安定を妨げる障害になった」などとする声明を出した。また、同判断を改めて「違法」と呼んだ。
比日米や西側諸国が参加した14カ国声明は、①仲裁判断は最終的かつ法的拘束力を有する②「歴史的権利」に基づくものを含む、中国の広範な海洋権益の主張には法的根拠がない③海空での他国の適法な活動を妨害・威嚇するため、沿岸警備機関、軍、海上民兵を動員し、地域の平和と安全を深刻に損なう行為に反対④「自由で開かれたインド太平洋」を堅持する――などの内容。
これに対し中国側は、①中国人は前漢時代(紀元前200年頃)に南シナ海諸島を発見し、中国は同諸島と関連海域に継続的、平和的かつ実効的に主権と管轄権を行使した最初の国である②南シナ海は世界で最も安全な航路の一つで、航行および上空飛行の自由が問題になったことはなく、米国などの域外国が軍事力を誇示し、問題を起こしている③中国は国連海洋法条約(UNCLOS)第298条に基づき、海洋境界画定や軍事活動などの紛争を強制的紛争解決手続きから除外している④判断は「国家の同意原則」など、国際法の基本原則に違反しており、違法で法的拘束力を持たない⑤同判断は過去10年にわたり問題を解決できず、域外国介入の口実に使われ、地域の緊張を激化させた――などと主張した。
▽中国の主張の妥当性は
中国がUNCLOS第298条に基づき、海洋境界画定や軍事活動などを強制的紛争解決手続きから除外していることは事実だが、仲裁裁判所は多くの判断対象について領土主権や海洋境界画定そのものを扱うものではなく、除外対象に当たらないと判断している。
国家の同意なしに国際裁判や仲裁の管轄権に服させられないという「国家の同意原則」について、中国は、今回の紛争を仲裁に付すことに同意しておらず、手続きにも参加しなかったとして原則違反を主張してきた。これに対し仲裁裁判所は、中国がUNCLOSを批准した時点で、条約の対象となる紛争について仲裁手続きへの事前同意が与えられており、不参加だけでは手続きを妨げないと判断している。
▽他の南シナ海沿岸国は
これまでも主要7カ国(G7)外相声明や比日米豪4カ国による同判断への支持はあったが、仲裁判断の周年を主題として14カ国が共同声明を出した前例は確認できず、仲裁判断支持の国際的な広がりが示された格好だ。
その一方で、フィリピン以外の東南アジアの南シナ海沿岸国は共同声明に参加しなかった。中国との紛争を抱えるベトナムは2016年に同判断の発出を歓迎し、マレーシアとシンガポールは判断に「留意」すると表明。インドネシアは2020年、同判断によって中国の「九段線」や歴史的権利の主張に法的根拠がないとの自国見解が確認されたとする口上書を国連に提出しており、東南アジア各国の対応には温度差がある。
ただ、その中でもベトナムは10周年の節目に独自声明を出し、UNCLOSを「海洋権原の範囲を包括的かつ網羅的に定める唯一の法的基礎」と位置付けた。一方、仲裁判断そのものを支持するとの明示的な表現や、中国に判断の履行を求める文言は避けた。








