「大統領に裏金届けた」と証言 カエタノ派が公聴会強行
上院カエタノ派が公聴会を強行開催。証人の元海兵隊員ら「マルコス大統領に裏金届けた」
上院のアランピーター・カエタノ議員=5月11日に議長就任=らは4日、元海兵隊員を名乗る18人を参考人として上院内に入場させ、治水事業汚職疑惑に関する公聴会を強行した。参考人の一人は、北イロコス州に現金入りのスーツケースを運んだと証言し、届け先について「マルコス大統領向けと聞いた」と述べた。3日の上院指導部交代で議長代行となったガチャリアン氏側は「この公聴会は、にせの、非公式で、無権限だ」と非難している。
今回の公聴会は、3日にブルーリボン(行政監視)委員長からの交代を宣言されたピア・カエタノ議員が主宰した。元海兵隊とされる証人の一人は、2022年に現金入りとされるスーツケース5個を北イロコス州に運んだと証言。「防弾仕様のレクサスに積み込み、防弾仕様のハイラックスで護衛した」と述べた。
ベルナルド・チューブと名乗る元海兵隊員は、マルコス氏に現金を届けたのは2022年と証言。「私たちが到着した後、サンドロ下院議員(マルコス氏長男)が最初に到着し、次に大統領、そして大統領夫人が到着した。彼らはザルディ・コー元下院議員と夕食をとった。私たちは翌朝マニラに戻った」と語った。
18人側はこのほか、アーウィン・トゥルフォ上院議員、ビセンテ・ソット前上院議長、レイラ・デリマ下院議員、フランス・カストロ前下院議員らの名前も挙げた。さらに、ラウル・マヌエル元下院議員、アーリーン・ブロサス元下院議員らについても、裏金を受け取っていたという証言が出た。
ソット、トゥルフォ両氏は3日の上院指導部交代宣言に参加したメンバー。デリマ氏、カストロ氏はドゥテルテ父娘批判の急先鋒で、ブロサス氏、マヌエル氏は下院進歩派ブロックに属し、サラ副大統領の弾劾を支持してきた。サラ氏の政敵に当たる面々が相次いで名指しされた格好だ。
▽大統領府「証拠の提示を」
これに対し、大統領府のカストロ報道官は、「指をさすのは簡単だ。まず証拠を提示してほしい。特に状況を不安定化する意図がみられる場合はなおさらだ」と指摘。
また分裂する上院には「みなさんにはしっかりしてほしい(ウマヨス・カヨ)」と苦言を呈し、大統領が来月に控える施政方針演説まで問題が長引くのを容認しない考えを示した。
一方、国家捜査局(NBI)のマティバグ局長は同日に会見を開き、裏金配達の指示役とみられるディフェンソル元下院議員が、元海兵隊員に対し、同氏の意向に沿った証言や記者会見を行う見返りに1人500万ペソを提示したとの情報提供を受けたと明らかにした。
元海兵隊員らが上院内に入る際には、現場にいたレムリャ内務自治相と、カエタノ派のロビン・パディリャ上院議員らとの間でもみ合いが起きた。ガチャリアン議長代行は後に、予防措置としてレムリャ氏の上院入りを求めていたと説明した。一方、レムリャ氏は「私は出て行くところだった。一人であの人数を制止できるはずがない」と述べ、入場阻止を図ったとの見方を否定した。
▽弾劾裁判にも影響
上院では3日、11人の反カエタノ派に、カエタノ派だったエスクデロ氏が加わったことで、12人が出席する形で議事が再開された。出席議員らはガチャリアン氏を上院議長代行に選出し、上院指導部の刷新を宣言した。
これに対し、カエタノ氏は、上院議長や上院仮議長の選出には13人の賛成が必要だとして、3日の手続きを「違法なクーデター」と批判。自身がなお正統な上院議長であり、姉であるピア・カエタノ議員もブルーリボン委員長のままだと主張している。
カエタノ氏は2日、ブルーリボン委員会を4日に開き、ロムアルデス前下院議長や元海兵隊員を名乗る18人らを招致すると発表していた。しかし、3日の指導部交代宣言後、新たに同委員長に選出されたアーウィン・トゥルフォ氏は、公聴会を8日に延期すると発表。ガチャリアン氏も4日の公聴会は予定されていないとして、参考人の上院入りを認めない方針を示していた。
親ドゥテルテ色の強いカエタノ派が上院を主導すれば、サラ副大統領の弾劾裁判にも有利に働くとみられる。どちらの陣営が上院運営の主導権を握るかは、弾劾を乗り切れば次期大統領確実とされるサラ氏の今後にも大きく影響しそうだ。さらに、強力な調査権限を持つブルーリボン委員会がマルコス政権や反ドゥテルテ派を攻撃する場として使われ続ければ、フィリピンの政治的安定がさらに揺らぎかねない状況だ。








