MRT3号線改修「第3期」に調印 円借款216億円、「大動脈」維持へ
首都圏鉄道3号線(MRT3)のさらなる安定運行に向け、比日両政府は総額約216億円の円借款供与に関する交換公文に署名
フィリピンの首都圏を南北に貫く交通の要、首都圏鉄道3号線(MRT3号線)のさらなる安定運行に向け、日本とフィリピン両政府は4日、総額約216億円の円借款供与に関する交換公文に署名した。今回の「第3期」改修計画により、長年課題となっていた運行トラブルの根絶と、通勤客の利便性向上を決定づける狙いだ。
署名式はマニラ市内の外務省で行われ、日本の遠藤和也駐フィリピン大使とフィリピンのラザロ外務大臣が出席した。今回の供与限度額は216億3483万円。金利0・8%、償還期間40年(うち据置期間10年)という緩やかな条件が適用される。
MRT3号線は、1日の利用客が数十万人に及ぶ首都圏の「大動脈」だ。しかし、2010年代半ばには保守点検の不備から車両の脱線や煙の発生、運行中断が日常化し、社会問題となっていた。
これを受け、フィリピン政府は2018年に日本へ支援を要請。かつて同線を建設した三菱重工業と住友商事が保守・改修作業に復帰した。第1、2期では、老朽化したレールの全面交換や車両のオーバーホールが行われ、運行速度は従来の時速30キロから60キロへ、運行間隔も大幅に短縮された。
今回の第3期では、これまでの改修成果を維持しつつ信号システムのさらなる高度化や、今後増大する旅客需要に対応するためのインフラ強化に焦点が当てられる。
首都圏の交通渋滞による経済損失は、1日あたり数十億ペソに上ると試算されている。遠藤大使は署名式で、「鉄道の安全性と快適性を高めることは、単なるインフラ整備ではなく、フィリピン国民の生活の質(QOL)向上と、持続可能な経済成長に直結する」と強調した。
今回の融資は「日本タイド(日本企業の技術や資材を活用する条件)」となっており、日本の鉄道運用の知見が、引き続きフィリピンの都市交通の近代化を支えることになる。






