日比、農業・食料安保で協力深化へ 比農務相が訪日、バナナ関税撤廃を要請
ラウレル農務相が日本を訪問し、農業・水産分野および食料安全保障に関する協力強化について協議
フィリピン農務省は4日、フランシスコ・ラウレル農務相が1月26日から29日にかけて日本を訪問し、日本の鈴木憲和農林水産相や国際協力機構(JICA)関係者らと、農業・水産分野および食料安全保障に関する協力強化について協議したと発表した。日比国交正常化70周年の節目を迎え、バナナの関税引き下げや水産分野への協力拡大など、多角的な貿易・支援策が提示された。
ラウレル氏は会談の中で、フィリピン産生鮮バナナに対する関税の引き下げを強く要望。フィリピンにとって日本は最大のバナナ輸出先だが、近年は他国との競争が激化しており、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入準備と並行して、競争力の維持を図る狙いがある。
ほかには、フィリピン側からの要請として①ポメロ(文旦の一種)の新規市場開放②マンゴーなどの検疫プロトコル改善③鳥インフルエンザ未発生地域からの鶏肉輸出――に関する市場アクセスの改善、日本側への協力としては日本産ブドウのフィリピン市場への早期参入支援などが話し合われた。
また、両国は、既存の農業協力覚書(MOC)を改訂し、新たに「水産分野」を盛り込む方針で一致した。これに伴い、2026年6月に「第2回日比農業合同委員会」を日本で開催し、国交正常化70周年となる本年中の改訂覚書署名を目指す。
今回の訪問の成果として、イサベラ州カウアヤン市の国家食糧庁(NFA)施設内に、日本の無償資金協力による「米加工システム(RPS)」が設置されることが決まった。施設は30トン規模の穀物乾燥機4基、毎時10トン処理の精米機、1000トン収容のサイロ4基を備え、収穫後損失(ポストハーベスト損失)の削減と米の品質向上、および年間を通じた備蓄能力の強化が期待されている。贈与契約は2026年2月中に署名され、速やかに実施される見通しだ。
ラウレル氏は訪日中、愛知県の知多埠頭(穀物)、静岡県の焼津漁港(水産)、東京都中央卸売市場食肉市場(食肉)を視察。日本の高度な物流ハブやコールドチェーンをモデルとして、フィリピン国内の食品流通近代化を推進する考えを示した。
また、JICAに対し、統合食品物流ハブの整備やマガットダム(イサベラ州)の改修、小規模漁業の近代化、市場主導型の野菜バリューチェーン(MV2C)プロジェクトの拡大など、重点事業への継続的な支援を要請。ラウレル農務相は、「農業技術の世界的リーダーであり、フィリピンにとって重要な輸出市場である日本との関係深化は、農家の所得向上と国の食料安全保障に不可欠だ」と述べ、パートナーシップの重要性を強調した。






