残留二世の救済「議員立法が馴染む」 木原官房長官が答弁
DNA鑑定で父子関係証明も、書類の壁で国籍回復が阻まれるフィリピン残留二世問題で、木原官房長官が「議員立法による特措法が馴染む」と答弁。立憲・塩村あやか議員の質問に
木原稔官房長官は11日、参議院の内閣委員会で、いまだ無国籍状態に置かれているフィリピン残留日本人二世の国籍回復問題に関して、特別措置法による解決に言及し、「(政府の立場としては)言い過ぎているかもしれないが、員立法というかたちで取り組むことが馴染む」との見解を示した。立憲民主党の塩村あやか議員の質問に対しての答弁。中国残留孤児の帰国と国籍回復が、議員立法による特措法(1994年中国残留邦人等支援法)によって行われたことを踏まえ、特措法による解決に踏み込んだ格好だ。
2023年のダバオ訪問を機に、クラウドファンディングによる当事者の一時帰国事業を行うなど残留二世問題に取り組んでいる塩村議員。同議員の支援で父の故郷沖縄に一時帰国を果たした金城ロサさん(82)ら当事者の状況について、「DNA鑑定で親子関係が証明され、日本の親族も国籍の回復を望んでいるのに、裁判所では国籍回復が認められていない」と現状を報告。政府の認識を尋ねた。
国光あやの外務副大臣は、「全ての残留日系人の国籍取得がいまだ実現していないことは非常に残念だと外務省として感じている」と述べ、その上で、裁判所の就籍申し立てを通じた国籍の回復が限界に直面している背景について、「DNA鑑定では親子関係が一定の立証の可能性はあるが、一方で、戸籍関係の書類については、フィリピン国内で大戦中から反日感情の高まりなどにより、戸籍関係の書類自体が焼却などし、身分を隠して生活をせざるを得ないような状況があった。そのため日本人父の国籍確認ができない等の状況があった」との認識を説明した。
昨年、DNA鑑定で日本人父との血縁関係が判明した当事者4人の国籍回復の申し立てが、相次いで却下された。その理由は、婚姻や認知を通じた法律上の父子関係を証明する証拠がないというもの。DNA鑑定がない時代に形作られた「認知」という判例上の線引きが適用された。
これは、戦中・戦後の激しい反日感情が渦巻く中、「日本人狩り」から逃れるために、父とのつながりを示すあらゆる書類や証拠を処分して日本人の子であることを隠して生きざるを得なかった当事者の一部にとっては、超えられない司法の壁として立ちはだかる。
▽「大日本帝国ハ汝等ノ保護者タルコト疑ヒナシ」
塩村議員は、戦前のダバオ移住者で、戦中に徴用され戦死したとされる橋本茂が妻と娘に宛てた遺言の一部を紹介。「汝若(も)シ一身上ノ事デ思案ニオヨバザル事アラバ、(中略)日本帝國(こく)政府ニ懇願シ援助ヲ受ケヨ」「天皇ノ國(くに)大日本帝國ハ即チ汝等ノ父ノ國ニシテ同時ニ汝等ノ保護者タル事疑ヒナシ」という一節を引用し、当時フィリピンに設置されていた尋常小学校に通うなど、日本人として育てられていた二世が、戦争という国策によって父を失い、国籍を喪失しているという事情を説明。
さらに現在の状況として、当事者の高齢化により昨年約50人とされた当事者は今さらに減少しており、存命の当事者も認知機能の低下によって、長年認められることを望んでいた自分のアイデンティティーについて、明確に認識できなくなる日が近づいているという、差し迫った状況を報告。
その上で、「現行法では限界が来ている。裁判所は認知された子どもとじゃない(証明できない)というかたちで今回却下している。沖縄にいる家族も認めてほしいとおっしゃっているのに、書類がないということで却下されている現実がある」とし、裁判所の就籍手続きを通じた方法に任せるだけでは、当事者全員の救済が極めて困難であることを指摘した。
木原官房長官は「国籍回復が実現していないということ、非常に残念であり、悲しい現実だと感じる」とした上で、「行政としては、関係者の高齢化が進む中で、一時帰国が国籍取得に関する情報を得るためにも重要な機会の一つだという考えのもと、昨年は8月に訪日事業を実施し、今年1月に外務省で訪日事業を実施した。引き続き国籍取得に向けた取り組みは可能な限り支援していきたい」と述べた。








