遺骨帰還「国の揺るぎない責務」 遠藤大使、任期最後のカリラヤ慰霊祭
遠藤大使、カリラヤで開かれた慰霊祭で戦没者遺骨の帰還を「国の揺るぎない責務」と強調
遠藤和也駐フィリピン日本大使は15日、ラグナ州カビンティ町カリラヤの日本人戦没者慰霊園で開かれた日本人戦没者慰霊祭で、フィリピンに残る日本人戦没者の遺骨収集事業について、「国として果たすべき揺るぎない責務」と述べ、遺骨の帰還に向けた取り組みを続ける決意を示した。近く帰任を控えた遠藤大使にとって任期中3度目で、最後のカリラヤ慰霊祭となった。
遠藤大使は閉会の辞で「今なおこのフィリピンの地に眠られたまま、故郷への帰還を果たされていない多くのご遺骨がある。その存在を片時も忘れることなく、一柱(ひとはしら)でも多くの御遺骨を一日も早くふるさとへお迎えすることは、国として果たすべき揺るぎない責務だ。その使命を全うするべく、今後も不断の努力を重ねる」と述べた。
比内務自治省(DILG)は2023年6月、当時のアバロス内務自治相の下で、日本政府による国内の日本人戦没者の遺骨収容と帰還を支援する方針を表明している。日本の厚生労働省と比外務省は2018年5月8日、第二次大戦中にフィリピンで死亡した日本軍将兵の遺骨の収集・帰還に関する協力覚書を締結していた。
レムリヤ内務自治相は2025年7月の取材で、司法省(DOJ)庁舎を掘削した際に、日本人2人分の遺骨が見つかったほか、タルラック州カパスでも6人分の遺骨が収容されたと説明していた。
▽平和の尊さ伝える責任
マニラ日本人会の岡本健会長は追悼の辞で「あの痛ましい大戦の終結から、81年の歳月が流れた。ここフィリピンは、第二次世界大戦において最大の激戦地の一つ。実に50万人を超える日本軍将兵に加え、老人や女性、子供を含む約2万人の民間人の尊い命が失われた」と振り返った。
さらに「また、日本人犠牲者の数に倍する110万人以上のフィリピンの方々が戦禍に巻き込まれ、尊い命を落した」とし、「今なお、そのフィリピンの地には、故郷に帰ることが叶(かな)わなかった数多くの方々の遺骨が眠っていることを、私たちは決して忘れてはならない」と強調した。
日比国交正常化70周年について岡本会長は「戦後81年、そして国交正常化70年を迎えた今、かつて多くの尊い血が流されたこの地において、平和の尊さを深く心に刻み、悲惨な記憶を風化させることなく次世代へ語り継ぐことが、私たちの使命と責任だ」と訴えた。
▽「永続的海洋パートナー」として
マルコス大統領は、在比日本大使館の大野祥次席公使が代読したメッセージで、「戦争の惨禍を忘れないことが平和への希求を呼び起こし、和解の力への希望と確信を新たにする」と強調。「戦没者の記憶が、戦争や紛争の脅威のない安全な未来に向けて比日が共に取り組む決意を強めることを願う」とした。
また、比日両国が「永続的な海洋パートナー」として、国際法を守り、紛争の平和的解決を訴え、将来世代が繁栄できる地域を築くため協力するよう呼び掛けた。
遠藤大使は日比関係について「戦禍を越えて深い友好協力関係を築くことができていることを、戦没者の方々の御霊(みたま)に、心を込めて報告する」と述べた。
さらに「戦後、日本は世界の中で平和を重んじる国として、名誉ある地位を築いてきた。それは日本が世界に誇る歴史であり、歩みだ」とし、「戦争の惨禍を二度と繰り返さないとの決然たる誓いを貫き、万人が心豊かに暮らせる世界の実現を目指してきたその歩みを、ここに改めて確認し、日比両国が共にその先頭に立つことを、戦没者の方々の御霊に誓う」とした。
慰霊祭には国防省フィリピン退役軍人局(PVAO)、国家歴史委員会、カビンティ町など地元自治体の関係者のほか、在留邦人、日本人団体、企業関係者ら約250人が参列した。
厚労省によると、フィリピンでは日本人戦没者約51万8000人のうち、なお36万9470柱が未収容。2010年に遺骨の所属集団を巡る問題で事業が中断され、2018年の日比協力覚書を経て再開された。現在はDNA鑑定で日本人の遺骨と判定した上で帰還させる仕組みとなっている(ロビーナ・アシド)








