上院銃撃事件の報告書提出 PNP、司法省が本格着手を言明
ビダ司法相は、13日夜に上院の敷地内で発生した銃撃事件についてPNPのナルタテス長官から正式な捜査報告書を受け取った
司法省(DOJ)のフレデリック・ビダ大臣は19日、首都圏マニラ市の大統領府で記者会見し、今月13日夜に上院の敷地内で発生した銃撃事件について、国家警察(PNP)のホセ・ナルタテス長官から正式な捜査報告書を受理したことを明かした。報告書には、現場を管轄する首都圏警察パサイ署の捜査資料、上院に隣接する公務員保険機構(GSIS)と国家捜査局(NBI)の間の警備調整文書、さらには国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ており当時上院に滞在していたロナルド・デラロサ上院議員が敷地内から脱出した際の詳細な足取りなどが含まれている。
ビダ大臣は、NBIからも同日朝に独自の調査報告書が提出されたと明かし、両機関から集められた防犯カメラ(CCTV)の映像、目撃証言などのすべての証拠を新設された専門検事パネルに送致し精査させるとしている。事件の調査範囲は、デラロサ氏が半年ぶりに上院に姿を現した5月11日から行方をくらませた14日までの全行動におよぶ見通しだ。
会見に同席したジョンビック・レムリヤ内務自治相によると、フェルディナンド・マルコス大統領にはすでに状況が報告されているものの、現時点で大統領からの具体的な指示は下されていないという。
また、レムリヤ氏は、当時展開していたNBIの要員は上院の建物内ではなく、隣接するGSISの敷地内に配置されていたと指摘。貴重な美術品などが展示されているGSISへの暴動の波及を防ぐための防衛的措置であったとし、「上院に対する攻撃が仕掛けられたわけではない」との結論を示した。ただし、この銃撃戦が何者かによって仕組まれた狂言であったかどうかについては、現段階では判断を留保した。
現場の検証状況についてナルタテス長官は、計4丁の銃器から発射された44発の薬きょうが回収されたと報告した。このうち23発は同一の銃から発射されたものであり、すでに警告射撃を認めて停職処分となっている上院警備責任者代行のマオ・アプラスカ氏を再び召喚し、発射元の特定を進める方針だ。
さらにナルタテス氏は、デラロサ議員が14日午前2時半ごろ、ロビン・パディリヤ上院議員の所有とみられる白のトヨタ車に乗って上院を脱出していたことも裏付けられたと明かした。
今回の事件を複雑にしているのは、銃撃が発生した上院の地理的環境と、そこに絡む政治的思惑だ。レムリヤ大臣が言及したように、上院が入居する建物はGSISの敷地内に位置している。この敷地内には重要美術品が多数保管されているため、国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状から逃れるために上院の保護下に入ったデラロサ議員を支持する過激な民間グループや、逆に反対派の暴動が飛び火することを恐れた司法当局がNBIの精鋭部隊を周辺に事前配置していた。これが上院側から「司法による立法府への包囲・威嚇行動だ」と誤解され、過剰に防衛的な銃撃戦を誘発した可能性が指摘されている。
また、事件の鍵を握る「23発の薬きょう」は、上院の警備責任者マオ・アプラスカ氏が放った警告射撃のものとみられている。しかし、短時間にこれほどの弾数が一斉に発射されていることから、単なる上空への警告にとどまらず、暗闇の中で迫り来るNBI部隊や正体不明の暴徒を迎え撃とうとした実戦的な迎撃であった疑いが濃厚だ。司法省の検事パネルは、この発砲が正当防衛の範囲内であったのか、あるいはドゥテルテ派による意図的な武力誇示や捜査妨害(狂言)であったのかを、弾道解析とCCTVの映像を通じて突き止める構えだ。








