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急増する太陽光発電の安全性確保を 政府は政策を実情に沿ったものへ整備を

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 上院の公聴会においてこのほど、マニラ電力会社(メラルコ)の幹部が政府に対して無許可の太陽光発電設備に対する規制強化を要請し、波紋を呼んだ。こうした設備は、高騰する電気料金から逃れようと多くの国民が手段を模索する中、最近急増している。

 メラルコは首都圏とその近郊州にある39の市と72の町をカバーする事業区域内で811万人以上の顧客にサービスを提供する我が国最大の民間配電会社である。同社は、こうした設備が必要な地方自治体の許可を得ず、安全検査も受けずに設置されているとして、安全上の懸念を根拠に規制強化を訴えた。同社は、太陽光発電設備が「正しく、かつ安全に設置される」ための「明確で標準化されたガイドライン」を求めているに過ぎないとした。

 しかし、規制強化の提案には、即座に激しい抗議の声が上がった。

 中東危機を受けて急騰した電力料金にすでに大きな負担を強いられている市民たちは、同社が利益を守るために、再生可能エネルギーの急速な導入に反対していると主張した。中には、同社が管轄区域内にある見苦しい「スパゲッティ」状の電線の混雑問題をまだ解決できていないのに、なぜ突然、太陽光発電設備の安全性を懸念し始めたのかと問う声さえ上がった。

 予想通り、同社はこうした批判に反発。「私たちの意図は、決してイノベーションを阻害したり、個人のエネルギー選択を制限したりすることではなく、安全性と適切な設置の重要性を強調することにある」と、コーポレート・コミュニケーション担当副社長であるジョー・ザルダリアガ氏は強調した。

 同社の事業区域だけでも、屋上太陽光発電設備の3分の1が許可を得ていないと推定され、同社の配電システムに潜在的なリスクをもたらしている。他の民間電力会社や地方電力協同組合の地域では、さらに多くの事例が存在すると考えられる。

 比統合電気技術者協会もまた、「人命、財産、公共の安全、および送電網の信頼性を守るため」に、安全基準の厳格な遵守を求めた。

 同社に対する非難は確かに不当かもしれないが、同社が完全子会社のエム・スペクトラム社を通じて太陽光発電設備の設置事業にも携わっており、住宅・商業・産業向けの太陽光発電ソリューションを提供していることは、その立場を不利にした。同社の説明に納得できない人々にとっては、利益相反との指摘が説得力を持つことになる。

 また、同社のその巨大な規模と支配力ゆえに規制当局から優遇され、その結果、小規模な事業者には不利益が及ぶのではないかという懸念もある。

 安全面に関する懸念は、本来なら提起されるべきではない立場から発せられたものかもしれないが、その警告自体は妥当である。太陽光発電設備が安全に運用され、電力網との併用が可能となるよう、政府が適切な技術基準を早急に策定することが急務である。

 中東情勢が突然解決したとしても、太陽光発電の導入は増加の一途をたどるだろう。エネルギー面での自給自足の重要性が浮き彫りになったことで、供給の安定性だけでなく価格の問題も重要視されるようになったため、政府には迅速な対応が求められる。

 非営利調査分析団体「ゼロ・カーボン・アナリティクス」のアジア地域上級研究員であるユ・サン・チン氏によると、比にとって太陽光発電の利用拡大は、価格高騰につながる地政学的緊張への依存度を低減し、コストを削減し、エネルギー安全保障を強化するための、最も迅速かつ効果的な手段の一つであるという。

 市場での普及は規制整備よりも常に先行するため、政府は関連法規を見直し、必要に応じて改正することで、現場の実情に遅れを取らないよう、常に先手を打つよう努めるべきである。(13日・インクワイアラー社説)

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