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ボラカイ橋建設は必要か 透明性の確保と地域との対話を

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 政府が最近承認したボラカイ橋建設事業について、複合企業大手のサンミゲル・ホールディングス(SMHC)の会長兼CEOであるラモン・アン氏が、事業に懸念を示す地方自治体関係者らと会合を行うと表明した。これは、公共事業道路省のヴィンス・ディゾン大臣が、事業の持続可能性や地域社会の生計への影響といった問題に対処するようアン氏に要請したことを受けたものだ。

 昨年3月、公共事業道路省は、官民連携(PPP)事業として総額77億8000万ペソの同事業の資金調達、設計、建設、運営、および維持管理について、SMHCに対し落札通知を発出した。総延長2.54キロメートルのこの事業は、車両、歩行者、自転車用の車線を備えた全長1.14キロメートルの橋を介して、ボラカイ島と、同島への玄関口であるカティクラン空港を擁するアクラン州マライ町のバランガイ(最小行政区)・カティクランを結ぶものである。

 環境天然資源省によると、同社は、事業の環境への影響が法律の基準内であることを示す環境適合証明書(ECC)の申請をまだ提出していない。ECCは、契約手続きを正式に開始する「建設許可通知(NOA)」の発行前には必須ではないものの、建設工事に着手する前に必要となる必須の許認可の一つである。

 同社は2018年4月、当時のロドリゴ・ドゥテルテ大統領がボラカイ島の水質改善のため半年間の閉鎖を承認した頃に、この橋梁建設事業を提案している。この島の6か月間の閉鎖は、無秩序な開発と過剰な観光による環境悪化と汚染に対処することを目的としていた。

 公共事業道路省が同事業の入札を開始してから1か月後の昨年3月、フィリピン官民連携センターのウェブサイトに掲載された事業概要によると、この橋の建設は「環境の許容能力を管理すること」および「ボラカイ島の過密状態と既存施設の過度な利用を解消すること」を目的としている。

 しかし、この計画は地域社会に懸念を抱かせている。島の魅力と経済の基盤である繊細なサンゴ礁や、より広範な海洋生態系に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念からだ。先住民コミュニティ、労働者、企業団体から地元当局に至るまで、関係者のすべてがこの計画に反対の意を表明している。

 2024年、カティクラン・ボラカイ交通多目的協同組合に所属する船頭や事業者は、生計の手段を失うこと、および政府が義務付けた近代化規則に準拠するためにグラスファイバー製の船舶に投資した約5億ペソの借入金の返済負担を懸念していると述べた。橋が完成すれば、それらの船舶はもはや役に立たなくなるという。

 去る2月、非営利かつ多部門にわたる団体であるボラカイ財団(Boracay Foundation Inc.)は、マルコス大統領宛てに書簡を送り、この事業がボラカイ島の自然景観を大きく変え、その脆弱な生態系に負担をかける恐れがあるとの懸念を伝えた。また、地元住民の生計や小規模事業に悪影響を及ぼす可能性についても指摘した。マライ町当局とアクラン州議会はそれぞれ決議を可決したが、後者は、各界からの反対があるにもかかわらず同事業を発注した公共事業道路省を強く非難した。

 フィリピン自治体連盟・アクラン支部は、この橋の建設により、ボラカイ島が持続的に受け入れ可能な範囲を超えて観光客が急増し、廃棄物管理システム、インフラ、天然資源に負担がかかる恐れがあると警告。包括的な環境影響評価の実施と、影響を受ける地域社会との実質的な協議を求めた。

 フィリピン商工会議所・ボラカイ支部も、政府に対し、より持続可能な代替案を検討するよう要請するとともに、インフラ事業は「責任あるものであり、包摂的であり、長期的な持続可能性に基づいたものでなければならない」と改めて強調した。フアンミゲル・クナ環境天然資源相は先日、地元コミュニティとの公聴会が実施され、その意見や提言が十分に考慮されない限り、橋梁プロジェクトに関する決定は行われないと述べた。

 この橋の建設が島の発展を促進し、アクセス改善につながることは疑いようがないが、それと同時に、地域社会の福祉や環境保護とのバランスも図らなければならない。政府と事業提案者は、環境適合証の提出を含め、透明性を確保することに努めなければならない。

 世界中から観光客を惹きつけてきたボラカイ島。その牧歌的な孤立感と自然の美しさを本当に犠牲にしてよいのであろうか。(10日・インクワイアラー社説)

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