ソマリア沖海賊行為が再燃 比人船員を脅威から守れ
約10年前、国際海運界の脅威となっていたソマリア沖の海賊行為が、再び増加傾向にある。ここ数週間で、商船や石油タンカーを含む少なくとも4隻の船舶が、ソマリアの海賊に襲撃された。こうした襲撃の急増を受け、英国海事貿易局は、同海域を航行する船舶に対し、「慎重に航行する」よう警告している。
4月21日には、タンカー「Honour 25」号とその乗組員17名が拿捕され、海賊によってソマリア沿岸の拠点へと連行された。その5日後、商船「Sward」号が乗っ取られた。
2000年代初頭の最盛期には、海賊たちはアデン湾からインド洋の広範な海域に至るまで、事実上海を支配していた。2011年の海賊行為が最も激しかった時期には、250隻もの船舶が襲撃され、比人を含む3700人以上の船員が人質に取られた。
海賊行為による被害額は世界経済に年間70億ドルの損失をもたらしており、海運各社は貨物の遅延や未配送による巨額の損失に加え、1隻あたり3億3900万ドルから4億1300万ドルに上る身代金の支払いも負担している。
ソマリア近海の航路をパトロールするために結成された多国籍部隊は、海賊の脅威を封じ込めることに成功した。しかし、湾岸地域での戦争が激化する中、パトロール活動はその後縮小されている。
報道によると、パトロール任務に就いていた多数の艦船が、ホルムズ海峡を通過する船舶の護衛に再配置されているという。ソマリアの海賊たちはその間隙を埋めるべく虎視眈々と狙っているのだ。
ホルムズ海峡の不安定な情勢も、海賊にとって好都合に働いている。イランによる海峡封鎖のため、船舶は喜望峰を経由する遠回りの航路を取らざるを得ない。その結果、船舶は海賊の格好の標的となってしまっている。
あるアナリストは、海賊組織の装備が前世代よりも充実しているとし、「GPSや衛星通信、そして乗っ取ったダウ船(アラビア海・インド洋の伝統的な船)の母船を活用することで、彼らは沖合数百マイルの海域でも活動できるようになった」と述べている。
また、別の安全保障専門家はAFP通信に、主に「武器が氾濫している」地域から新たなタイプの海賊も現れていると指摘した。彼らは貧困や、中国・イエメン・イランなどからの違法漁業に対する怒りを動機としており、「この地域のほぼ全員が貧しく、ほぼ全員が武装している。違法漁業、特にトロール船によるものが事態をさらに悪化させている」という。
放置すれば、これらのグループは「政府と敵対する組織へと変貌する」ことになる。中でも最も危険なのはアル・シャバブやイスラム国のようなイスラム過激派組織である。
今回は、事態の深刻さも増している。原油価格の高騰に伴い、海賊たちはタンカー1隻に対して、これまで以上に高額な身代金を要求してくる可能性がある。すでに湾岸戦争の余波に苦しんでいる何千人もの比人船員たちは、海賊行為の再燃のせいでさらなる不安を募らせている。
一部の比人船員にとって、海賊によって人質に取られることは、繰り返し襲ってくる悪夢のような体験だ。2012年3月、漁船「ナハム3号」がソマリアの海賊に拿捕され、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、これを当時としては2番目に長期にわたる人質事件とした。
乗組員のうち5人が比人で、解放交渉が成立するまで5年間拘束された。彼らは精神的・肉体的な拷問を受けたと証言している。そのうちの1人、エルマー・バルベロ氏は、拉致犯たちから「まるで犬のように」扱われたと語った。それから何年経っても、バルベロはあの時の体験を忘れることができなかった。そのトラウマは、目には見えないが、決して消えることのない傷跡を残した。
ある研究によると、ハイジャック事件で人質となった経験者の約26%が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいるという。「Honour 25」号や「Sward」号の乗組員に比人はいなかったが、少なくとも134人の比人船員がソマリア海賊による乗っ取りや人質事件を経験している。政府の推計によれば、6時間に1人の割合で比人船員が拉致されているという。世界の船舶に就航している同胞が23万人いることを考えれば、これは非常に高い数字である。
比人船員が直面するリスクが高まる中、政府は、いざという時に必要な保護を提供できるよう、セーフティネットが確実に整備されていることを確認しなければならない。(4日・マニラタイムズ社説)








