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ナボタス火災で存在感示した宇宙庁 今後も多方面で比を支える科学者ら

1745字||社会|新聞論調

 首都圏ナボタス市の衛生埋立処分場で発生し、今も続いている火災は、予期せぬ恩恵をもたらした。それは、政府機関の中でも最も目立たない存在の一つであるフィリピン宇宙庁(PhilSA)が、国に対する自らの価値を証明する機会となった点である。

 宇宙庁の存在自体、あまり知られていないだろう。同庁は2019年9月、共和国法第11363号(フィリピン宇宙法)に基づき設立され、大統領府の付属機関となっている。その任務は、宇宙科学技術に関連するあらゆる国家的な課題や活動を管理することであり、これには、国家安全保障、開発、災害管理のための衛星による監視、宇宙関連の研究開発、産業能力の構築、科学教育・訓練、そして国際協力の調整などが広く含まれる。

 また、フィリピン大学および日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力し、独自に開発した3基の小型衛星(ディワタ2号、マヤ5号、マヤ6号)の観測を行うほか、欧州宇宙機関(ESA)のコペルニクス計画から提供される地球観測データや、レーダー衛星ノヴァSAR-1からのデータの管理も担当している。

 現在進行中のナボタス処分場火災において、PhilSAによるこうした活動が最も有用であることが証明されている。4月10日に発生した処分場の火災を最初に検知したのはPhilSAであったという報告もいくつかあったが、それが事実であるかどうかは定かではない。とはいえ、その処分場は人里離れた廃墟で、最寄りの住民からも距離があるため、地上から火災の規模を把握することは困難であった。

 4月11日以来、PhilSAは衛星データを用いて、この火災に関する継続的な監視と最新情報の提供を行ってきた。これは消火計画の策定に役立っているが、大気質(空気中の汚染物質・有害ガスの汚染度合い)の監視においてはさらに大きな助けとなっている。同庁が収集したデータは、広範囲にわたる大気質を一度に正確に把握できるだけでなく、処分場火災による煙の移動状況も明らかにする。これにより、当局はタイムリーな警報を発令でき、状況が悪化する可能性のある地域を予測することもできる。

 現時点におけるPhilSAの活動の大部分は研究分野だが、心強いのは、実用性を重視していることだ。例えば、同庁は最近、国家灌漑庁と提携協定を締結し、地球観測データを活用して灌漑システムの地図作成や水資源のモニタリングを行うプログラムの開発に取り組んでいる。

 その他の注目すべき事業には、通信環境の改善に向けた衛星インターネットの有効性に関する継続的な調査や、宇宙教育の一環および理科教育の充実を目的として学校に衛星ラジオの地上局を配備するプログラムが含まれる。これらは、災害時の緊急通信手段としても機能する。また、同庁は、大気汚染データの地域およびアジア全域での共有プログラムや、環境モニタリングのために地球観測データを地方自治体やその他の機関と統合するプログラムも管理している。

 より直接的な経済的利益も見逃されてはいない。同庁の主要プログラムの一つは、宇宙関連技術およびハードウェアの技術力と製造能力の構築を目指している。

 比を「宇宙開発国」と表現するのは、多くの人にとって奇妙に思えるかもしれないが、事実、我々はそうである。そこには誇りを感じるべき点もあるが、一方で、宇宙産業がこれほど急速に成長している現状――今世紀初頭には自国の衛星を保有する国が約14カ国だったのが、現在では約90カ国にまで増えている――を考えると、それほど珍しいことでもない。

 しかし、伝統的に政府の野心がその実力をはるかに上回っているこの国において、唯一無二と言えるのは、合理的かつ達成可能で進歩的な長期目標を策定しただけでなく、それを着実かつ効果的に追求している宇宙機関の存在だろう。

 PhilSAは完全に科学者たちによって運営されている。皮肉屋なら、この機関こそが、政治家ではなく真の専門家が実務を任された場合に何が起き得るかを示す好例だと指摘するかもしれない。彼らには、多少の注目が集まったとしても気にしないでほしい。この国には、彼らのような人材がもっと必要だからだ。(23日・マニラタイムズ社説)

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