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日比ACSAが発効 南シナ海有事で後方支援も

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日比ACSAが発効し、訓練や災害対応で物品・役務提供が円滑化。「重要影響事態」でも後方支援可能

南シナ海で比米艦と共同活動を行った護衛艦ゆうだち(中央)
南シナ海で比米艦と共同活動を行った護衛艦ゆうだち(中央)=7月(比国軍提供)

 自衛隊と比国軍(AFP)の間で物品・役務を相互提供する際の枠組みを定めた日比物品役務相互提供協定(日比ACSA)が22日、発効した。共同訓練や人道支援・災害対応などで、両国部隊間の運用協力を強化する。相互提供する「物品」からは、武器は除かれているが、弾薬の供給は可能。そのほか、要員、資機材の輸送、基地活動、修理・整備、施設利用、航空・港湾業務などの役務を相互に行うことができる。昨年9月に発効した、訪問部隊の法的地位を定め武器持ち込みを可能とする部隊間協力円滑化協定(RAA)を補完・強化する内容だ。日本にとって、米豪英加仏印などに続き10カ国目。東・東南アジア諸国の中では初の締結国となった。

 アンドロン国防次官補は声明で、ACSAにより物品・役務を効率的かつ調整して提供することが可能になり、共同訓練や人道支援・災害対応などの二国間活動に大きく寄与すると説明。「相互信頼と自由で開かれたインド太平洋への共通の願いに基づく包括的戦略的パートナーシップの実践を示すものだ」とした。

 ▽南シナ海有事への適用も

 日本外務省の発表によると、①共同訓練②国連平和維持活動(PKO)、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動、大規模災害対処③外国での緊急事態における自国民等の保護・輸送④連絡調整その他の日常的な活動⑤それぞれの国の法令により物品または役務の提供が認められるその他の活動――の五つを適用の主な対象としている。

 「南シナ海有事」が発生した際に、どれだけ日本が踏み込んだ協力を可能とするかを左右するのは5つ目だ。5月の衆議院外務委員会では、中道改革連合の近藤和也議員の質問に対し、外務省北川克郎欧州局長が「その他の活動」に、「存立危機事態」、「重要影響事態」も含まれると回答している。

 両方とも2015年の安保法制で組み込まれた規定。「存立危機事態」は、「日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」で集団的自衛権(武力行使)を一部容認する内容。「日本と密接な関係にある他国」は条約同盟国である米国だけに限らない。例えば2015年6月12日には、防衛協力が進むオーストラリアについて、中谷元防衛相(当時)が、法律の要件を満たせば存立危機事態を含む各事態で、日豪の運用協力が可能と答弁している。また最近では、昨年11月に高市早苗首相が台湾有事の際に「存立危機事態になりうるケースがある」と国会で答弁し、外交問題に発展した。

 一方、南シナ海有事でより関係しそうなのは「重要影響事態」だ。「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等わが国の平和および安全に重要な影響を与える事態」。重要影響事態に認定され、比国軍が支援対象となる外国軍隊に該当すれば、武力行使・武力威嚇は行えないものの、フィリピン国軍への後方支援(戦闘現場を除く)、捜索救助、船舶検査、および、「その他必要な措置」を取ることが可能となる。

 重要影響事態は旧・周辺事態から「わが国周辺の地域」との文言を削除したものだ。その内容については、旧周辺事態の6類型、つまり、①武力紛争の発生が差し迫る②武力紛争が発生

③紛争は一応停止したが秩序未回復④ある国の行動が安保理から「平和に対する脅威」「平和の破壊」「侵略行為」と決定される等⑤大量避難民が発生し日本への流入可能性が高まる⑥内乱・内戦等が純然たる国内問題を超えて国際化――が適用されると2015年5月12日に中谷元防衛相(当時)が答弁している。また、同年6月1日に中谷元防衛相(当時)は、南シナ海有事が発生し、米軍が参戦、中国が機雷を設置した場合について、仮定の話には答えられないとしつつも、「全ての情報を総合的に、客観的かつ合理的に判断する」として、排除していない。

 また2015年5月、当時の安倍晋三首相は、重要影響事態が地理的概念でないとしつつ、「わが国に近い地域において重要影響事態が生起する蓋然性は相対的に高い」と認めている。

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