気を抜けばすぐにでも領土失うおそれ スカボロー礁構造物と国防相への制裁に即座の対応を
マルコス大統領は今月12日、マラカニアン宮殿に外交官や高官を招いて独立記念日の祝賀レセプションを開催した。駐比中国大使の井泉(Jing Quan)氏の出席は、西フィリピン海における中国の挑発的行動をめぐりフィリピンと中国の関係が緊張する中、歓迎すべき姿勢として受け止められたはずである。
1898年のスペイン植民地支配からの独立を宣言してから128周年を記念したこの夕食会の挨拶で、マルコス大統領は、「これまでと同様、国連の創設メンバーとして、比は全ての国々と協力し、平和、安定、持続可能な開発、そしてルールに基づく国際秩序の実現に向けて取り組む」と述べている。
しかし、このまさに前日、中国は異例の措置を講じた。ヒルベルト・テオドロ・ジュニア国防相に対し、「中国に対する無責任な発言を繰り返し、中国の正当な利益を損ない、中比関係を破壊している」として制裁を科すと発表したのである。
声明によると、「中国の主権、安全保障、および発展上の利益を守るため、中国はテオドロ氏、その配偶者、および子供に対し、中国本土、香港、マカオへの入国を禁止することを決定した」という。また、中国の企業や団体がテオドロ氏とその家族と取引を行うことも禁止された。
中国外務省は、この措置を招いたテオドロ氏の具体的な違反行為について詳細は明らかにしなかった。しかし、明らかに、西フィリピン海における中国の侵入行為に対する同大臣の厳しい批判への報復措置であった。
友好国が共に食事を分かち合い、親善の乾杯を交わすレセプションの席で、井氏がそのような過酷な措置を正当化したり説明したりするために大統領に何か囁いたのかどうかは不明だ。そうでなければ、彼がその場に居合わせたことは不適切だった。
実際、外務省はテオドロ氏に対する入国禁止措置について「制裁の発動は中国の主権に基づく権利ではあるが、比はこれを、二国間関係をさらに複雑化させる非友好的な行為と見なしている」と、声明で述べている。
しかし、外務省は声明にとどまらず、外交的抗議を行うべきである。大統領は、西フィリピン海における緊張を高めている最近の中国の行動に対して不快感を伝えるため、井氏を大統領官邸に呼び戻すべきである。
テオドロ氏への渡航禁止措置への対応に加え、比政府は、パナタグ(スカボロー)礁における中国による人工構築物の設置でもより強力な措置を講じる必要があろう。
当局によると、ルソン島から約220キロメートル離れた比の排他的経済水域(EEZ)内に位置し、現地ではバホ・デ・マシノックとして知られる同礁において、乗組員6名を乗せた中国の浮体構造物が発見された。乗組員は無許可の海洋科学調査を行っている可能性があるという。専門家らは、この浮体構造物が、中国が過去数十年にわたり南シナ海の他の島嶼で行ってきたように、この環礁に軍事施設を建設し、恒久的に占拠する前兆となる可能性があると警告している。
我が国は、このような事態を絶対に許してはならない。もし許せば2016年の常設仲裁裁判所の裁定によって支持された比の領有権主張にとって、大きな打撃となる。また、これらの事件は、6月3日に両国が国交樹立51周年を祝ったわずか1週間後に発生したものであり、強硬な中国に対しては、外交上の礼儀作法が通用しないことを改めて示している。
両国間の海洋紛争管理を目的としたハイレベルな協議の場である「フィリピン・中国二国間協議メカニズム」でさえ、中国が比の排他的経済水域(EEZ)に侵入することを思いとどまらせることはできなかった。
カストロ大統領報道官によると、マルコス大統領はこの浮体構造物の存在を把握しており、中国がパナタグ礁を掌握することを許さないとしている。政府は中国の活動を厳重に監視・記録し、適切な時期に仲裁裁判所へ必要な提訴を行う必要があるだろう。
マルコス氏の就任時の誓い――比の領土を1インチたりとも譲らない――は、緊急の課題となっている。一瞬でも気を緩めれば、パナタグ礁を失ってしまうかもしれない。(16日・インクワイアラー社説)








