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「レッドライン」越えの可能性 中国がスカボローに人工物設置か

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比国防相「中国がスカボローに建造物設置との情報を確認中」。「レッドライン」越えの恐れも

シャングリラ会合に参加したテオドロ国防省
シャングリラ会合に参加したテオドロ国防省=31日、シンガポール(国防省提供)

 テオドロ国防省は5月30日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に参加した際、記者団に対し、ルソン島サンバレス州西方のスカボロー礁=比名・バホデマシンロック(パナタグ礁)=に中国が人工物を設置したとの「生の情報」を受け取ったと明らかにした。情報の確実性については「確認中」とした。

 2012年に中国が占拠した同礁への建造物の設置は、南沙諸島アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)に座礁させてある旧型艦の強制撤去と並び、比政府が「レッドライン」として中国に警告してきた一線だ。

 もし事実だった場合、南シナ海有事の着火点となりかねず、また比政府が外交上の抗議しかしなかった場合「レッドライン」が有名無実となる事態に陥りかねない。

 テオドロ氏の発言を受け、サンバレス州議会のコンフン議員(比沿岸警備隊予備隊)は31日までに声明を発表し、「バホデマシンロックの戦略的重要性を過小評価してはいけない」と強調。「(同礁は)遠く離れた海洋地形ではなく、サンバレス州本土の西わずか124カイリ(約230キロ)に位置し、2016年の南シナ海仲裁裁判判断で認められた比の排他的経済水域(EEZ)内に収まっている」と説明した。

 その上で、政府に対し「外交、法的措置、防衛のあらゆる手段を尽くすべきだ」と訴えた。

 ドゥテルテ政権期の2018年、当時のカエタノ外務相=現上院議長=は、スカボロー礁への建設物設置、アユギン礁座礁艦「BRPシエラマドレ」の撤去の二つを「譲れない一線」と明言していた。

 ▽比日海洋交渉への反発

 これまで南シナ海問題で中国が一段階踏み込んだ行動を取るのは、比側の行動に対する「しっぺ返し戦略」となっている場合も多い。

 実際の設置時期は不明だが、今回の事案が露見する前に南シナ海問題で中国政府が比に抗議を行ったのは、比日首脳会談後に発表された、比日間での「海洋境界確定の正式交渉の開始」に対してだ。

 中国外務省は29日の定例会件で、「日本と比が発表した海洋境界を引こうとしている海域は、台湾島の東に位置する。中国はこの海域にEEZと大陸棚を有している」とした上で、比日両国に「厳重な抗議」を行ったと発表した。

 一方、これに対し、台湾外務省は31日に声明を発表。国際法に基づく比日間海洋協議には「『わが国』の一貫した立場と一致する」と評価し、「3者(比日台)が地域の平和と安定に具体的に寄与することを期待する」と表明した。

 中国の主張に対しては「わが国の領土および関連海域の主権的権利について、中国側が口を差し挟むことは許されない」と一蹴した。

 比日間の海洋境界は、日本の南西諸島、台湾、比のバタネス諸島の周辺に展開する。南シナ海で発生してきた比中間の海洋問題が、日台を巻き込む形で拡大するというシナリオが現実性を増してきたといえそうだ。

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