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外交関係を格上げ 日比、防衛情報協定の交渉開始へ

2702字||政治

比日両政府は、二国間関係を「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げすることで合意

首脳会談に先立ち、国会で演説するマルコス大統領
首脳会談に先立ち、国会で演説するマルコス大統領=大統領府広報室

 フィリピンと日本両政府は28日、二国間関係を外交枠組みを「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げすることで正式に合意した。外交ステータスの刷新は、公式訪問で東京に滞在中のフェルディナンド・マルコス大統領と、高市早苗首相による首脳会談の後に発表され、両国間の歴史的かつ極めて強固な相互信頼関係を象徴するものとなった。

 マルコス大統領は会談後の共同声明で、比日の国交正常化70周年の記念すべき年に、二国間関係を従来の「強化された戦略的パートナーシップ」から最上位へと引き上げられたことに深い満足感を表明。変化を続ける地域および地球規模の課題や機会に対応するための両国の絆の強さ、深さ、そして広がりを如実に反映していると言及し、経済、エネルギー、脱炭素、防衛、安全保障、そして海洋協力のさらなる前進に向けた両国の強固な決意を新たにした。

 両国は1956年7月23日に国交を樹立し、2015年6月には当時のベニグノ(ノイノイ)・アキノ大統領と安倍晋三首相による共同宣言を通じて、「強化された戦略的パートナーシップ」を結んでいた。

 マルコス大統領の今回の訪日期間中には、経済および技術分野の基盤をより強固にするための複数の重要な合意文書が交わされた。その中には、ビジネス環境を劇的に改善し、国境を越えた双方向の投資をさらに活発化させるための「二重課税防止条約」が含まれる。また、農林水産分野における共同プロジェクトの拡大や、質の高い医療・保健サービスへの公平なアクセスの向上、長年の課題である人的資源開発における継続的なパートナーシップの推進でも合意した。さらに、次世代の成長産業を見据えた最先端の宇宙開発とその応用、人工知能(AI)の共同研究、エネルギー安全保障の確立、およびサプライチェーンのレジリエンス確保にいたるまで、経済安全保障に直結する広範な領域での協力体制が敷かれることとなった。

 今回の首脳会談における最も重大な進展は、安全保障面での連携をかつてない次元へと引き上げる二つの重要な公式交渉の開始が合意されたことだ。一つは、比国軍と日本の自衛隊との間における防衛協力の強化および相互運用性(インターオペラビリティ)の向上を目的とした、機密軍事情報の共有を可能にする「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の締結に向けた正式な政府間交渉。もう一つは、両国の海洋管轄権を明確化し、地域におけるルールに基づく海洋秩序をより強固なものにするための「海洋境界の画定」に関する公式交渉の開始だ。マルコス大統領は、これらの法的枠組みの構築に向けた前進が、日比の防衛協力を一段と強固にし、法の支配に基づく秩序を維持するための極めて決定的なステップであり、両国の戦略的信頼を最大化させるものであると高く評価した。

 国交正常化70周年の節目に行われた今回の4日間の公式訪問は、地政学的逆風が強まるインド太平洋地域において、比日が地域の安定と法の支配を支える強固な関係へと進化したことを世界に印象付けることとなった。

▽高市総理とマルコス大統領による首脳会談を受けた共同声明の要約は以下の通り。

1.概要と二国間関係の格上げ

・首脳会談の開催:日・フィリピンの国交正常化70周年を祝し、東京で首脳会談が行われた。

・関係の格上げ:両国の緊密な友好関係と信頼に基づき、二国間関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」へと格上げすることで一致。

・基本原則の共有:「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」および「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実現に向け、法の支配や領土保全の尊重などの基本原則を共有していることを再確認。

2.安全保障協力

・防衛協定の進展:部隊間協力円滑化協定(RAA)の発効を歓迎し、物品役務相互提供協定(ACSA)の早期発効に向けた調整や、秘密軍事情報保護に関する協定の交渉開始で一致。

・防衛装備・技術移転:護衛艦やレーダーシステム等の防衛装備移転を一層促進し、サプライチェーンの強靭化や防衛当局間の連携を強化するため、次回「2+2」(外務・防衛閣僚会合)を早期開催することで一致。

3.経済・エネルギー・技術協力

・インフラと投資の促進:ルソン経済回廊(LEC)構想の下で高品質なインフラ投資を促進することを確認し、新たに署名された新租税条約による投資・経済交流の活性化への期待を表明。

・経済安全保障と先端技術:経済的威圧への懸念を共有し、半導体や重要鉱物のサプライチェーン強靭化、AIやデジタルインフラ(海底ケーブルや5G等)の分野での協力を深化させることで一致。

・CPTPPへの加入支持:フィリピンのCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入プロセスの早期開始に対し、日本が支持を表明。

・エネルギー・環境:「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の下でクリーンエネルギー協力を推進し、2026年後半にAZEC首脳会合を共催することで一致。

・農業・DX:宇宙やデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した食料安全保障の達成や、農業協力に関する協力覚書に基づく生産性向上支援で一致。

4.海洋協力

・境界画定交渉の開始:国際法(国連海洋法条約:UNCLOS)に従い、両国間の排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界を画定するための正式交渉を開始することを決定。

・海上法執行機関の連携:フィリピン沿岸警備隊の能力強化に向けた日本の継続的な支援を確認し、合同訓練や能力向上などの相互交流をさらに促進することで一致。

5.地域・国際情勢および多国間連携

・東シナ海・南シナ海情勢:力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対し、2016年の南シナ海に関する仲裁判断の遵守の重要性を再確認したほか、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調。

・多国間連携の強化:日フィリピン米の3カ国協力を強化し、オーストラリアやインドなどの志を同じくするパートナーとの連携をさらに強化することを確認。

・国際情勢への対応:ミャンマー情勢、中東情勢(ホルムズ海峡の安全確保やパレスチナ和平への貢献)、北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題、ロシアによるウクライナ侵略について協議を行い、それぞれの立場や外交努力の必要性を共有。

・国連での協力:日本は、フィリピンの国連安全保障理事会非常任理事国選挙における立候補に対して確固たる支持を確認。

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