デジタル経済枠組み協定の交渉妥結 ASEAN、11月の署名目指す
ASEANは、「ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)」の交渉を妥結
東南アジア諸国連合(ASEAN)が進めていた、域内初となる包括的な電子商取引・デジタル統合に関する協定「ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)」の交渉が妥結した。フィリピンで5月27日から29日まで開催された第57回ASEAN高級経済実務者会合(SEOM)の第2回会合において、これまでの交渉におけるすべての未解決事項が解消され、今年2026年11月の正式署名に向けた道筋が完全に整った形だ。
貿易産業省(DTI)国際貿易関係局長で、今回のSEOM議長を務めたメアリー・アキア氏は5日30日の声明で、「域内初の広範なデジタル経済協定の交渉が成功裏に終了した。デジタル的に統合され、安全で相互運用可能、かつ競争力と包括性を備えた地域経済を目指すASEANのビジョンを前進させる重大なマイルストーンだ」と述べた。
現在の成長トレンドでもASEANのデジタル経済規模は30年までに1兆米ドルに達すると予測されているが、同協定が発効・実施されれば、その市場価値は2倍の2兆米ドルへと跳ね上がる可能性があるとの試算が示されている。グローバルな投資の呼び込み、新規雇用の創出、起業家精神の育成、さらには域内の企業やコミュニティにおけるビジネス機会の拡大をもたらし、ASEANを世界有数のデジタル成長ハブとして確固たる地位に押し上げる見通しだ。
ASEANの経済実務者らは、今年11月に開催予定の第49回ASEANサミット(首脳会議)および第28回ASEAN経済共同体(AEC)評議会閣僚会議のサイドラインにおいて、同協定の正式な署名式を行うことを目指している。
今回のDEFAがカバーする領域は多岐にわたり、デジタル貿易や国境を越えた電子商取引(eコマース)のルール策定をはじめ、データガバナンスとプライバシー保護、デジタルアイデンティティ、電子決済システム、オンライン上の安全性およびサイバーセキュリティ協力、競争政策、人工知能(AI)、そしてデジタル人材の移動の流動化などが含まれる。
DEFAは、これまでASEANが進めてきた「ASEANシングルウィンドウ(通関電子化システム)」や、デジタル決済のコネクティビティ、国境を越えたデータ共有イニシアチブ、オンライン消費者保護、および「ASEAN共通企業識別番号(UBIN)」といった一連のデジタル統合の取り組みを土台として構築されている。DEFAの導入により、デジタル接続性の強化、オンライン取引における信頼性の向上、および国境を越えたデジタル貿易の障壁削減が実現し、域内全体でよりシームレスで安全な環境が創出されることが期待されている。アキア氏は「これは単なるデジタル貿易協定を超え、ASEAN全体のビジネスや消費者がより簡単かつ安全にデジタル経済に参加できるようにするための発展・統合ツールだ」と説明した。
さらに同協定は、加盟国間の開発格差を是正し、域内経済の基盤を支えるマイクロ・中小零細企業への機会拡大を促す役割も担う。これは、長期ビジョン「ASEAN 2045:分かち合う我々の未来」および「AEC戦略計画2026-2030」の目標達成に向けた中核的なイニシアチブとなる。AEC評議会閣僚らは、DEFAの恩恵を最大限に享受するためには、タイムリーな署名と実効性のある実施、そして加盟国やステークホルダー間の持続的な協力が不可欠であると強調。アキア氏は「目的は単にデジタル貿易の規模を拡大することではなく、デジタル変革がもたらす機会をすべての加盟国とその国民へ広く、公平に分配することにある」と付け加え、一体となった持続可能な成長へのコミットメントを改めて表明した。








