SONAへの希望「汚職対策」が最多 レームダック歯止めに難問
SONAで望む課題は「汚職対策」が最多の29・8%、「物価高対策」が18・7%で続いた
27日に行われる大統領施政方針演説(SONA)に先立ち、民間調査会社パルスアジアは、「SONAでマルコス大統領に最も取り上げてほしい課題」に関する世論調査の結果を発表した。自由回答で尋ねた全国調査で、最多回答は「汚職対策」で29・8%=内訳は「治水汚職追及」18・9%、「汚職対策全般」10・9%=だった。それに「生活必需品を手ごろな価格にすること(物価高対策)」が18・7%で続いた。
3番目以下は、「雇用・生計機会の拡大」(6・6%)、「貧困問題の解決」(6・2%)、「違法薬物問題」(5・5%)、「賃金・所得の上昇」(5・1%)、「燃料価格高騰の緩和」(4・9%)などとなった。
イランでの紛争による物価高が庶民の家計を直撃するなかでも、治水汚職問題がSONAに関する国民的関心で、物価高を上回った。
▽社会階層で差
社会経済階層別では、富裕層~中間層(ABC)の42・1%が汚職対策を挙げ、2位の物価高対策(12・4%)とは29・7ポイントの差がついた。人口の大半を占める大衆層(D)でも汚職対策は29・6%で最多だったが、物価高対策(19・1%)との差は約10ポイント。貧困層(E)では物価高対策が23・8%で首位となり、次は貧困問題で15・9%、汚職対策は3番目の13・8%となった。
低所得層ほど物価高による「痛み」が深刻になる一方、所得が高いほど納税者意識が強くなる傾向が反映されたとみられる。
地域別では、汚職対策が首都圏で35・0%、首都圏を除くルソン地方で32・7%、ミンダナオ地方で29・7%と最多だった。一方、ビサヤ地方では物価高対策が22・7%で、汚職対策の19・3%を上回った。マルコス家ともドゥテルテ家とも相対的に縁が薄いビサヤ地方では政治的関心が相対的に低いという結果となった。
調査は6月28日~7月3日および6日、全国の18歳以上2400人を対象に対面方式で実施。全国の標本誤差はプラスマイナス2%。
▽政権に自壊をもたらした一手
昨年5月の中間選挙の「敗北」の総括を踏まえ、国民の不満を解消するために1年前のSONAで大統領自らぶち上げたのが治水汚職問題だ。だがその問題は、開いたが最後、収拾させることができない「パンドラの箱」の様相を呈してきた。
昨年7月下旬にマルコス大統領が治水汚職との戦いを宣言してから、汚職に関連した疑惑でボノアン前公共事業道路相が昨年9月に、パガンダマン予算管理相とベルサミン官房長官が11月に辞任したほか、大統領の母方のいとこで、盟友として下院を取り仕切っていたロムアルデス前議長も昨年9月に議長職を辞任した。
汚職問題のあおりで公共事業が遅延したことが響き、5%台で推移していた成長率は今年第2四半期に2・8%まで鈍化。それに応じて施政への純満足率も、過去2政権では未経験のマイナス水準に沈み続ける。自分が始めた汚職追及によって、政権運営に大きな痛手を被った。
治水汚職との戦いを宣言した翌々月に鳴り物入りで立ち上げた独立調査委員会は、今年3月に活動終了を宣言。幕引きを図りたい政権の本音が透けるなか、依然、国民の関心は高いままだ。
ただ一方で、同じタイミングで実施されたSONAとひも付けない「国家的関心事」の調査(複数回答)では、「物価高の抑制」が57%でトップ。「汚職対策」(43%)を14ポイント上回った。SONAについて国民が望んでいるのは、汚職の徹底摘発だけというより、この1年の混乱への説明と総括という部分も少なくなさそうだ。
政権のレームダック化に歯止めをかけるには、国民生活と国民経済の回復策を打ち出しながら、一方で汚職との戦いについて、これ以上政治・経済を混乱させずかつ「追及の腰折れ」との不満を持たれないための具体的方策を示すという、難問に答える必要がありそうだ。
▽治水汚職の主な出来事
25年7月 大統領がSONAで治水事業を批判、責任追及を指示
8月 政府が治水事業受注が15業者に集中していたと公表
政府が治水汚職通報サイトを開設
9月 ボノアン公共事業道路相が辞任
議会で建設業者や元政府職員がリベート要求を証言
マルコス氏が独立インフラ委員会を設置
上下両議長が相次ぎ辞任
首都圏で治水汚職への大規模抗議
汚職の中心人物とされるコー下院議員が辞職、逃亡
11月 問題後初の成長率発表、コロナ後最低の4%に
ベルサミン官房長官とパガンダマン予算管理相辞任
26年3月 ICIが活動終了。オンブズマンに引き継ぐ
5月 26年Q1成長率が2・8%と発表。コロナ後最低更新
6月 ジンゴイ・エストラダ上院議員が略奪罪で逮捕





