比の「高位中所得国」入りも実感ない国民 格差を是正する政治的努力を
世界銀行が、比をついに「低位中所得国」から「高位中所得国」に引き上げたと発表した後、よく街中で聞かれたのが「私は高位中所得者じゃないよ」という声だった。
この地位は、比の2025年の1人当たり国民総所得(GNI)が4850ドルに達したことで獲得できた。なぜなら、世界銀行が定める上位中所得国の分類基準であるGNIの範囲(4636ドル~1万4375ドル)内に収まっていたからだ。
GNIは、国内総生産(GDP)に海外在住比人からの送金を加算し、外国人および多国籍企業が国外に送金した所得を差し引いたものを基に算出される。この合計額を国民総数で割ったものが1人当たりGNIとなり、世界銀行の所得分類の基準となっている。
海外在住の比人からの多額の送金により、フィリピンは40年ぶりに低位中所得国の分類から脱却することができた。しかし、経済当局者自身も、この分類の向上は所得格差を反映したものではないことを認めている。
経済成長を公平なものにし、その恩恵を草の根レベルにまで波及させることは、権力と富(これらはしばしば密接に結びついている)が人口のごく一部によって独占されているこの国において、長年の課題となってきた。
世論調査機関などによる自己申告に基づく貧困率は一貫して高い水準にあり、民間調査会社のソーシャル・ウエザー・ステーションズ(SWS)が3月に実施した最新の世論調査では、52%の世帯が自らを「貧困層」と回答している。
一部のアナリストは、景気減速によって貧困層が拡大し、中・低所得層の人々が貧困に陥る恐れがあると警告している。公平な成長を促進するため、開発計画担当者は、雇用を創出する企業の誘致に加え、質の高い教育、医療、労働力の継続的なスキルアップを通じた人的資源能力の構築への実質的な投資の重要性を強調している。
しかし、投資の誘致だけでも困難を極め、長年にわたり、わが国はこの分野において近隣諸国の大半に後れを取ってきた。不十分なインフラや電力・物流コストの高さに加え、投資家からは、煩雑な行政手続き、汚職、特定の企業や業界に都合のいいように規制や法制度を変えるレントシーキング、そして脆弱な法の支配について不満の声が上がっている。
中東で続く紛争や、洪水対策をめぐる汚職スキャンダルに起因する公共支出の凍結による景気減速は、経済成長と所得格差の是正にとってさらなる課題となっている。
これらの課題に対処しなければ、その「上位中所得国」という地位は、何百万人もの比人にとって無意味なものとなってしまうだろう。(5日・スター社説)








