フィリピン新聞

マニラ
34度-23度
両替レート
1万円=P3,730
$100=P5985

米比によるAI・半導体関連産業ハブ設立計画 比人労働者に資するよう透明性の確保を

1925字||社会|新聞論調

 自国に敵対的になりうる国々への製造・技術面での依存度を低減しようとする動きが広く見られるなか、米国は「米国および世界のサプライチェーンに不可欠な原材料を確保するため」、フィリピンに1619ヘクタールの産業ハブを設立する計画を発表した。

 タルラック州のニュークラークシティ内に設置されるこの経済安全保障ゾーン(ESZ)について、米国務省経済担当次官のジェイコブ・ヘルバーグ氏は、米国の同盟国全土で開発が進められている「AIネイティブ投資加速ハブ」の「新たなモデル」であると説明している。これは、米国主導で2025年12月に発足した、AI(人工知能)および半導体のサプライチェーン(供給網)を安定確保するための多国間協力枠組み「パックス・シリカ」の一環となる。

 同声明でヘルバーグ氏は、「経済安全保障ゾーンは、米国のサプライチェーンに不可欠な投入財の生産を急拡大させるという、より広範な戦略の一環である」と述べ、さらに「同ゾーンは、インド太平洋地域におけるフィリピンの地理的な中心性、若く技術力の高い労働力、そして米国との深化する同盟関係を活かすことができる」と付け加えた。

 マルコス政権は、米国が主導するAIおよびサプライチェーン安全保障に関する多国間同盟「パックス・シリカ」への参加を強く望んでいた。フレデリック・ゴー財務相は、このイニシアチブに参加することで、比が「自国の鉱物資源と戦略的な立地が、単に世界の産業を裏方として支えるだけでなく、未来の産業を築くために積極的に活用されることを確実にするものだ」と述べている。

 比には確かに多くの魅力がある。ニッケル、銅、クロム鉄鉱、コバルトなどの鉱物資源の豊富な埋蔵量は、半導体を含むグローバルなサプライチェーンにとって不可欠と見なされている。特に、米国がAI用途で最高レベルの演算能力を備えたチップの生産における優位性を確保しようとしている現在、その重要性は高まっている。「20世紀が石油と鉄鋼で動いていたとすれば、21世紀はコンピューティングと、それを支える鉱物資源で動いている」とヘルバーグ氏は以前述べていた。

 したがって、現政権にとって、比がこうした重要鉱物を保有しているという事実は、比西部の広範な「ルソン経済回廊」内のESZが、雇用を創出する製造施設が集まる拠点となり、かつそれが国にとって最小限のコストで実現されるための交渉の切り札となるはずである。

 設定されるESZが具体的にどのようなものになるかは未定である。比米両政府の発表は、合意の概略を示すにとどまっており、この合意が祝うに値するものかどうかを判断するための情報はほとんど示されていないからだ。

 例えば、製造施設はすべて米国企業によるものとなるのか、他の外国投資家も同様に足場を築くことができるのか。また、「共同統治」についても明確にする必要がある。同ゾーンを統治する法的・運営上の条件は、土地所有に関する憲法上の制限や、政府自身の対外投資に関する規則に抵触する可能性があるため、明示的に規定されるべきである。実際、ESZは、米国に完全な権限と所有権が与えられていたスービックやクラークの旧米軍基地とは一線を画すものでなければならない。

 もう一つは、ESZが「比の優れた労働力と人材、鉱物資源、エネルギー資源、そしてインド太平洋貿易の要衝という戦略的立地」への「アクセス強化」を求めるという宣言である。

 革新系の「フィリピン農民運動」(Kilusang Magbubukid ng Pilipinas)は、この計画が比の土地、鉱物資源、そして主権に対する「大規模な売り渡し」であると断じた。また、米国主導のこの計画により、農村部における土地の奪取、資源の採掘、そして軍事化が激化するのではないかという懸念も示した。

 また、下院における革新系の一部下院議員らも同様の懸念を共有し、政府が「パックス・シリカ」に参加する計画に激しく反対し、比を米国の戦争に利用し、中国と結びついたサプライチェーンへの依存を減らすための口実に過ぎないとした。

 しかし、こうした巨大プロジェクトがもたらすメリットは否定できない。これは、切実に求められている雇用創出だけでなく、比の労働者がAIや先端技術のスキルを習得する機会も提供することになるだろう。政府は米国と緊密に連携し、この合意が双方にとって有益なものとなるよう確保する必要がある。この合意について透明性のある検証を行うことで、主に米国側からなされた突然の発表における詳細の欠如から生じた当初の懸念は払拭されるだろう。(22日・インクワイアラー社説)

社会