比人は国内旅行できないのか? 航空運賃の高騰対策と観光インフラ整備を
1980年代後半のドキュメンタリー旅行番組『トラベル・タイム』を覚えている人も多いだろう。番組のキャッチフレーズ「Huwag maging dayuhan sa sariling bayan」(自分の国でよそ者にならないで)は、一世を風靡した。
しかし、航空運賃や宿泊費の高騰により、比人はまさにその言葉通りとなってしまった。より手頃な価格の、アジア地域内の他国への旅行を好むようになっているのだ。
昨年、シャルガオ行きの航空券が約3万ペソに達し、東京への旅行費用を上回っていることを嘆く声がソーシャルメディア上で上がった。最も衝撃的だったのは、エアアジア(マレーシア)が運営する旅行予約プラットフォーム「エアアジア・ムーブ」を通じて、タクロバンからマニラへの片道航空券が3万9000ペソ近くも請求された件だろう。その後、民間航空委員会は、同プラットフォームに対し、運賃の過大請求を理由に600万ペソの罰金を科した。
今年、バタネス行きの航空券が2万7000ペソという価格設定を示したとする別の投稿も話題となり、国内旅行が海外旅行よりも高額であるという議論が再燃した。
運輸省と観光省は、措置を講じている。昨年9月、運輸省は、フィリピン航空(PAL)がシャルガオ行きの運賃を片道1万1000ペソ、往復2万2000ペソに上限を設けることに合意したと報告した。これは依然として平均より高い水準だが、PALのウェブサイトを確認したところ、9月の片道予約のシャルガオ行きエコノミークラス運賃は少なくとも4000ペソまで下がっていた。
先月、新たに就任した観光省のディタ・アンガラ=マタイ大臣は、「Discover More to Love」キャンペーンを開始した。このキャンペーンでは、7月から11月にかけて3000件以上の旅行プランが提供される。この取り組みは、特にフィリピン人を対象に、国内観光の魅力を高めることを目的としている。
キャンペーンのウェブサイトには「比には、探求すべき理由が尽きることは決してない。ただ、私たちがそれを忘れてしまうことがあるだけだ」とある。確かに、この国を旅する理由は数多くある。昨年、高級旅行雑誌『コンデ・ナスト・トラベラー』の読者投票で、ボラカイ、パラワン、シャルガオが「世界一の島」に選ばれた。
問題は、それらの島々への旅行が手頃な価格かどうかだ。法外な費用のため、この国の美しい島々への旅行は特定の層に限定されている。つまり、為替レートが高いため、これらの目的地をより手頃な自国通貨で利用できる国からの観光客であり、一方、比人にとっては、近隣諸国を旅した方がペソの価値を最大限に活かせるという状況である。
こうした政府の取り組みは歓迎すべきものだが、さらなる対策が必要だ。国内線の運賃が高額である理由に関する調査では、インフラが限られているか、あるいは不十分であることが、重要な要因として指摘されている。ベトナムやタイは、比ほど多島国ではないものの、多数の島々が観光客を惹きつけている。違いは、旅行代理店から交通サービスに至るまでシームレスなシステムが整備されており、インフラもより充実している点にある。
例えば、シャルガオ島への主要な玄関口であるサヤック空港は、滑走路の長さが約1300メートルと短く、計器飛行(パイロットが景色ではなく計器のみで操縦すること)の設備もない。そのため、乗客数約80人の小型機しか発着できず、夜間や悪天候時の運航もできないため、島への乗客数が制限されている。1日2往復のみでは需要を満たせず、航空運賃が高騰しているのだ。
政府が2019年の東南アジア競技会でタルラック州の聖火台に5000万ペソを拠出できるのなら、空港インフラの改善に資金を投入できない理由はない。政府は今年、19の空港の施設改修に78億ペソを割り当てており、サヤック空港への2300万ペソも含まれている。課題は、これが治水汚職スキャンダルのような事態に陥らないようにすることだ。
政府には、観光客の安全確保、国内路線の自由化、観光税の簡素化などの課題が多く残されている。また、スムーズな島間移動のためには、陸上および海上の交通インフラの整備も必要だ。これこそが、比人がより多くの観光地を発見し、自国でよそ者扱いされないようにするための唯一の道である。(7月19日・インクワイアラー社説)








