比の「パックス・シリカ」参加にも影響か 加速する米国内の環境規制撤廃・緩和策
9月14日、米国環境保護庁(EPA)のリー・ゼルディン長官は、同庁が、バイデン政権により定められた発電所に対する温室効果ガス排出規制の大部分の廃止を最終決定したと発表した。さらに、EPAは、気候変動関連の規制をすべて撤廃するというトランプ政権による取り組みの一環として、電力部門に対する残りの温室効果ガス排出基準すべての撤回も提案している。
これは、マルコス政権や、重要鉱物に関する比米日などの「パックス・シリカ」予備合意を支持する民間セクターにとって、深刻な懸念材料となるはずだ。比の環境に関する懸念は、現在の米国政権によって確実に無視されるからだ。
EPAは、2024年版「化石燃料発電設備の炭素汚染基準」の大部分の条項を撤廃する根拠として、気候変動対策の目的で発電所の温室効果ガスを規制する権限を「大気浄化法」の下では有していないと主張した。この見解は、温室効果ガスの排出が人間の健康に有害であると認定した2009年のEPAによる「危険性認定」が、今年初めに大統領令によって一方的に撤回されたことによっても、大きく裏付けられた。
トランプ大統領が任命したゼルディン氏が率いる同機関が、環境規制を骨抜きにすることを自らの役割と見なしているかのように、EPAのプレスリリースは、「モデル分析によれば、発電所の温室効果ガス排出が地球規模の気候変動に影響を与えていないことが引き続き示されている」と主張したが、これは言うまでもなく露骨な嘘である。
50年以上にわたる科学的証拠に基づけば、それらは、主に化石燃料の燃焼といった人間活動が地球の地表や海洋を温暖化させ、それが地球の気候に影響を与え続けていることを示している。しかし、トランプ氏はこの圧倒的な証拠の集積をデマだと考え、米国の政策は、気候変動への取り組みに逆行するものとなっている。
温室効果ガス排出量において、2024年に中国がトップとなり、現在米国は2位の排出国である。しかし、中国はクリーンエネルギーの開発を推進し、産業排出の規制を強化してきたため、今年か来年のうちに再び米国が1位となる可能性が高い。
したがって、米国が気候変動対策を妨害する動きは、比や、先進国による気候変動の影響を被る他の国々に対しても、すでに悪影響を及ぼしていることになる。同様に、政府開発援助(ODA)のルートを通じて、比の気候変動への適応や緩和に向けた取り組みに対して、支援は期待できないだろう。
より具体的には、EPAによる今回の決定は、米国主導の「パックス・シリカ」イニシアチブの下で構想されている産業開発の先駆けとなる「フィリピン・米国間の重要鉱物に関する覚書」について懸念を招いている。その覚書には、比の環境上の懸念に何ら言及する箇所がなく、これはすでに明らかな欠落である。鉱業は必然的に環境に対する侵襲的な活動であり、被害を最小限に抑えて実施されるよう、確固たる規制上の安全策が必要とされるからだ。
今回のEPAの決定は、比政府が主張する環境規制が米国の政策に反する場合、米国が受け入れないことを示唆している。その結果、フィリピンは極めて受け入れがたい選択を迫られることになる。すなわち、合理的な環境保護措置を放棄するか、あるいは「パックス・シリカ」プログラムによって得られるであろうあらゆる利益を失うリスクを冒すかのいずれかである。
現時点では、どうすればそのような状況に陥るのを避けられるのかは明らかではない。「パックス・シリカ」協定の最終的な詳細について協議を進める政府交渉担当者の任務は、極めて慎重な対応が求められる。(9月17日・マニラタイムズ社説)








