高裁も棄却、最高裁へ DNA鑑定済みの残留2世5人
就籍を巡り高裁で退けられた比残留日系人5人が最高裁に特別抗告
フィリピン残留日本人二世の日本国籍問題で、就籍許可を求めていた残留2世5人について、高等裁判所はこのほど、家庭裁判所の却下を不服とする即時抗告を棄却した。5人は最高裁に特別抗告した。支援団体フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)が4日に公表した。5人は全員DNA鑑定で日本人父の子であることが確認されていた。
就籍は、日本国籍を有するものの本籍がない人が、家庭裁判所の許可を得て戸籍を作る手続き。PNLSCによると、5人はいずれもDNA鑑定で日本人の父との血縁関係が科学的に証明され、日本側親族との交流も確認されている。一方、裁判所は、父母の婚姻や父による生前の認知届が確認できず、法律上の父子関係が成立していないことなどを理由に就籍を認めなかったとしている。
PNLSC側は、出生当時適用された旧国籍法の「父」を法律上の父に限定する解釈は、婚姻の有無によって子の国籍を左右することになり、憲法14条が定める法の下の平等に反すると主張。最高裁への特別抗告では、憲法や国籍法などを専門とする法学者ら4人の意見書も提出したとしている。
残留2世を巡っては、石破茂前首相とも面会している竹井ホセさんも東京家裁と東京高裁で就籍許可申立てを退けられ、最高裁に特別抗告している。東京高裁は1月に即時抗告を棄却。同月に特別抗告が申し立てられた。竹井さんに続き、今回新たに5人が最高裁に救済を求めることになった。
一方、PNLSCは今回、パラワン州在住の92歳とバタアン州在住の88歳の残留2世2人について、新たに就籍許可が下りたことも明らかにした。さらに別の2人について就籍許可を申し立てたという。
フィリピン残留日系人は、戦前にフィリピンへ渡った日本人男性と現地女性との間に生まれ、戦争で父親との離別や死別を経験した人が多い。戦後の混乱や反日感情の中で日本人であることを隠して生活し、戸籍や親子関係を示す資料が失われ、無国籍状態となったケースも多数ある。高齢化のなかで当事者はひとりひとり減っており、PNLSCは2026年3月時点で、就籍許可申立てを待つ残留2世は28人まで減少したとしている。
▽婚姻による子の不利益、過去にも違憲判断
PNLSC側が今回の主張の根拠として重視しているのが、父母の婚姻の有無によって子に不利益を与えることを問題視した過去の最高裁判断だ。
最高裁大法廷は2008年、日本人の父から出生後に認知された子について、父母が結婚して嫡出子となった場合に限り、届け出による日本国籍取得を認めていた当時の国籍法3条1項を巡り、こうした区別は憲法14条1項が定める法の下の平等に反すると判断した。判決を受け、同年に国籍法が改正され、父母の婚姻を国籍取得の要件とする規定は削除された。
最高裁大法廷は2013年にも、婚姻していない男女の間に生まれた子の法定相続分を、婚姻した夫婦の子の2分の1としていた当時の民法900条4号の規定を憲法14条1項違反と判断。父母が婚姻していないことは子自身が選んだり変えたりできる事情ではなく、それを理由に子に不利益を及ぼすことは許されないとの考え方を示した。
今回の残留2世5人の事件で中心的な争点の一つとなっているのは、出生当時の旧国籍法が定めた「父が日本人なるとき」の「父」を、婚姻や認知によって法律上の父となった者に限るか、血縁上の父まで含めるかという点。DNA鑑定などによる血縁確認が困難だった時代に制定された旧国籍法を、現代の科学技術や法制度の変化を踏まえてどう解釈するかも焦点となっている。PNLSC側は、現在はDNA鑑定によって父の認知がなくても血縁上の父子関係を確認できるとしている。
PNLSC側は、両判例が示した考え方を踏まえ、父母の婚姻や父による認知の有無によって子の国籍を左右する解釈は法の下の平等に反すると主張している。PNLSCはまた、旧国籍法の「父」には血縁上の父も含める解釈が可能だとしている。








